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Deep Dive

DeepSeek V4 Pro → GPT-5.6 Solの順に使うと、精度10ポイント上でコスト60%減 — コーディングAIはどちらか一方を選ぶな

8月18日、Together AIが「DeepSeek V4 Pro 0813 vs GPT-5.6 Sol on DeepSWE: Cost, Coding, and Routing」と題した記事を公開した。コーディングベンチマーク「DeepSWE」を用いてDeepSeek V4 Pro 0813とGPT-5.6 Solをコスト・精度・ルーティング戦略の観点から比較した定量分析で、最も重要な結論は「どちらか一方を選ぶな」——Proを先に走らせ失敗時のみSolにエスカレートするカスケード構成が、Sol単体より10ポイント高い精度を60%安いコストで実現する。

8月18日、Together AIが「DeepSeek V4 Pro 0813 vs GPT-5.6 Sol on DeepSWE: Cost, Coding, and Routing」と題した記事を公開した。コーディングベンチマーク「DeepSWE」を用いてDeepSeek V4 Pro 0813とGPT-5.6 Solをコスト・精度・ルーティング戦略の観点から比較した定量分析で、最も重要な結論は「どちらか一方を選ぶな」——Proを先に走らせ失敗時のみSolにエスカレートするカスケード構成が、Sol単体より10ポイント高い精度を60%安いコストで実現する。


結論から先に言う:どちらか一方を選ぶな

この比較の最も実務的な結論は「2つを組み合わせて使え」である。

DeepSeek V4 Pro 0813を先に走らせ、テストが通らなかった場合のみGPT-5.6 Solにエスカレートする「カスケード構成」を取ると、83.0%のタスク解決率をタスクあたり$3.35で達成できる。Sol単体では72.7%を$8.37でしか達成できない。10ポイント高く、コストは60%安い。

さらに言えば、このカスケード(83.0%)は「どちらを先に使うか」という最適ルーティングを1ショットで判断する理想的なオラクルルーター(pass@1で80.8%)さえも上回る。オラクルルーターとは、タスクごとに事後的に「最適なモデル」を選択できる仮想的な上限値を指す。2回の独立した試行は、1回の完璧な選択より強いというわけだ。


35倍のコスト差が何を意味するか

Together AIは全113タスク・各4試行、計904ロールアウトをDeepSWEで実施した。DeepSWEはGitHubの実際のIssue修正を題材にしたコーディング評価ベンチマークで、SWE-benchの系譜を受け継ぎつつTogether AIが独自に整備したものだ。エージェントが実際にコードを書き・テストを走らせ・パッチを提出するという実務に近い形式で能力を測る。主要な数値は以下の通りだ。

指標 DeepSeek V4 Pro 0813 GPT-5.6 Sol
Pass@1 62.8% ± 3.1% 72.7% ± 2.2%
Pass@4 88.5% 85.8%
ロールアウトあたりコスト $0.24 $8.37
$100あたり解決タスク数 260 9
中央値ステップ数/時間 146ステップ / 35分 53ステップ / 17分
出力トークン数(中央値) 101k 59k

1ショット(pass@1)ではSolが72.7%対62.8%で明確にリードする。しかし試行回数を増やすと逆転が起きる。pass@4ではProが88.5%でSolの85.8%を上回る。

この逆転には明確な理由がある。pass@4は同一タスクに対して独立した4回の試行を行い、いずれか1回でも成功すれば「解決」と見なす指標だ。Proは1回あたりのコストが$0.24と極めて安いため、4回リトライしても合計$0.96に過ぎない。一方Solは4回試行すれば$33.48にのぼる。コストが低いほどリトライを大量に投入できるため、試行ごとの多様な解法探索がPassレートに直結しやすい。加えてProは1ショット精度こそSolに劣るが解法の多様性が高く、複数回試行することでその多様性が得点に転換される。結果として$100あたりの解決タスク数は260対9と約30倍の開きになる。

速度面ではSolが圧倒的に有利だ。1ロールアウトあたりの中央値がSolは17分・53ステップであるのに対し、Proは35分・146ステップかかる。人間が待つインタラクティブな用途ではSolの優位性は明確だが、バッチ処理や夜間実行であればProで十分という判断も成立する。


失敗の質が違う:リグレッションに注意

見落としやすいが重要な指標が「失敗時のリグレッション率」だ。

  • GPT-5.6 Sol:失敗の20%でそれまで通っていたテストを壊す
  • DeepSeek V4 Pro 0813:同じく11%

GPTファミリーに見られるリグレッション傾向がSolにも現れている。Solのdiffをそのまま取り込む場合は、必ず全リグレッションテストをゲートとして設けるべきだ。Proは失敗してもベースラインを壊しにくく、「惜しいが無害な失敗」が多い。


タスクタイプ・言語別の得意不得意

ドメイン別では、Solが8ドメイン中6ドメインで勝利する。特にデータモデリング・シリアライゼーション(92%対Proの64%、28ポイント差)やクエリ/設定(80%)での差が大きい。Proが勝つのはステートフルリアクティビティ(66%対64%)の1ドメインのみ。

プログラミング言語別では、SolがPython(74%)、Go(79%)、TypeScript(66%)、JavaScript(75%)を制覇する。唯一の例外がRustで、ProがSolを65%対60%で上回る。Rustかつコスト重視という条件が揃えば、Proを選ぶ合理的な根拠になる。


カスケード戦略の具体的な仕組み

2モデルの相関係数は0.54で、両者が解く113タスクの内訳は次の通りだ。

  • 両方が解く:90タスク
  • Proだけが解く:10タスク
  • Solだけが解く:7タスク
  • 両方が解けない:6タスク
  • いずれかが解く(ユニオン):107タスク(94.7%)

ProはSolが全く解けないタスクを追加で拾うことはほとんどできないが、共通タスクをごく低コストで処理できる。だからこそ「Proで先に捌いて、弾かれたものだけSolに回す」という構成が最大効率を生む。カスケードのコスト$3.35は、Sol単体$8.37の約40%に過ぎない。そしてこの83.0%という到達精度は、前述のオラクルルーター(80.8%)——事後的に最良のモデルを選べる理論上の上限——を超える点も見逃せない。


どちらを選ぶべきか

  • 1ショットの精度と低レイテンシが最優先:GPT-5.6 Sol。ただしリグレッションゲートは必須。
  • 大量処理・リトライ許容・コスト重視:DeepSeek V4 Pro 0813。pass@4での天井はむしろSolより高い。
  • テスト検証の仕組みが整っている:Pro→Solのカスケード。精度・コストともに最も有利。

詳細はDeepSeek V4 Pro 0813 vs GPT-5.6 Sol on DeepSWE: Cost, Coding, and Routingを参照していただきたい。