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MandiantのAIエージェントが2日間で100件超の重大脆弱性を検出 — 攻撃者がAIを使う時代に、防御側も同じ速度で応じる

8月18日、Google Cloudが「Staying Ahead of Adversarial AI Through Agentic Source Code Review」と題した記事を公開した。MandiantがAIエージェントを活用したソースコードレビューフレームワーク「AVDH」を構築し、実際のインシデント対応で2日間に100件超の重大脆弱性を発見した事例について詳しく紹介されている。

8月18日、Google Cloudが「Staying Ahead of Adversarial AI Through Agentic Source Code Review」と題した記事を公開した。MandiantがAIエージェントを活用したソースコードレビューフレームワーク「AVDH」を構築し、実際のインシデント対応で2日間に100件超の重大脆弱性を発見した事例について詳しく紹介されている。


攻撃者もAIを使っている——防御側が同等の手段を持つ意味

AIを悪用する攻撃者が増加している現在、ソースコードが漏洩した際のリスクは格段に高まっている。攻撃者はAIツールを使ってマシンスピードで脆弱性を探すため、防御側が従来の手作業中心のコードレビューに留まっていては速度面で太刀打ちできない。

Mandiantが今回公開したフレームワーク「AVDH(Agentic Vulnerability Discovery Harness)」は、こうした状況に対し防御側がAIエージェントを同等の武器として活用するアプローチだ。本記事では、AVDHの内部アーキテクチャが初めて公開されており、他の組織が同様の手法を自分たちの環境に実装できるよう支援する狙いがあるという。「攻撃者と同じ武器で防御する」とはすなわち、スキャンの速度・網羅性においてAIを防御側のワークフローに組み込むことを指している。


2日間で100件超の重大脆弱性を検出

AVDHは、AIエージェントを使ったソースコード脆弱性検出フレームワークだ。その実績が具体的な数字で示されている。

直近のインシデント対応案件では、企業の内部リポジトリが流出するという事態が発生。AVDHを投入したところ、わずか2日間でTrue Positiveの重大脆弱性を100件以上発見した。手作業によるコードレビューでは到底実現できないスピードだ。

過去10ヶ月の運用を通じて、AVDHは数千万行規模のコードベースを分析し、数千のパイプラインを実行して数万件の検出結果を生成してきた。広く使われているWebブラウザ拡張機能やオープンソースプロジェクトでも多数の脆弱性を発見しており、現時点で12件のCVEが正式に割り当てられている(CVE-2026-13242、CVE-2026-55803 など)。さらに約12件が現在も開示プロセス中だ。

※CVE番号のリンク先については、元記事記載のDrupal SAページへの対応を現時点で検証できていないため、リンクを外している。参照の際はNational Vulnerability Database(NVD)などで番号を直接検索されたい。

スピードと広域スキャンだけでなく、標的型の敵対シミュレーション(レッドチーム)でも成果を上げている。クライアントのWebアプリケーションのソースコードを処理したところ、初期侵入を可能にするリモートコード実行(RCE)脆弱性を迅速に発見したという。


ハーネスとは何か、なぜ重要か

LLM(大規模言語モデル)をセキュリティ用途に使う際の最大の課題は、モデルの非決定論的な挙動だ。同じ入力でも毎回異なる出力が返ってくる可能性があり、セキュリティ分析のような厳密性が求められる用途では致命的になりうる。

「ハーネス(Harness)」とは、このLLMの不確実性を制御するためのプログラム的インフラだ。エージェントを厳密に決定論的な順序で動かし、各ステップの完了を確認してから次に進む。ソフトウェア開発におけるウォーターフォールモデルに近い発想——「前のフェーズが完了してから次に進む」という線形の工程管理——をエージェントの実行制御に応用したものと考えると分かりやすい。LLMが「何でもできる柔軟なAI」として動くのではなく、決められた順番でタスクをこなす「厳格な作業者」として振る舞うよう制約をかける仕組みだ。

AVDHはGoogle Agent Development Kit(ADK)をベースに構築されており、複数の専門エージェントをシーケンシャルなパイプラインで連鎖させる。パイプラインの最終出力はリスク評価済みの優先度付き検出リストであり、人間の専門家がレビューしやすい形で提供される。


人間の専門知識をパイプラインに直接注入する

AVDHのアーキテクチャで特徴的なのは、懐疑的な検証ステップの強制ドメイン固有の人間知識の注入だ。

Mandiantの数十年にわたるフロントライン経験——あらゆるソフトウェアドメインにおける脆弱性発見・修復の知見——が、エージェントの動作を構造化する設計に直接反映されている。

また、エージェントが効果的に機能するためには、リッチな環境インプットが必要だとも述べている。具体的には以下のような情報だ:

  • 資産インベントリ(アセット一覧)
  • **SBOM**(Software Bill of Materials:ソフトウェアを構成するコンポーネントの一覧表。依存ライブラリのバージョンや出所を把握するために使われる)
  • アーキテクチャドキュメント
  • 脅威インテリジェンス

これらのコンテキスト情報を「人間の知識を蒸留したナレッジベース」に投入することで、エージェントが関連スキルや言語ルール、脆弱性パターンを動的に選択して深い分析を実行できるようになる。


継続的防御との組み合わせ

AVDHは単独での運用にとどまらず、継続的スキャン機能を持つ別ツールと組み合わせることで二層構造の防御戦略を構築できるとしている。AVDHがポイントインタイム(特定時点)での深掘り分析を担い、継続的な監視ツールが日常的なスキャンを担う役割分担だ。

元記事ではこの継続的スキャン機能としてCodeMenderが言及されているが、リンク先の製品ページがCodeMender固有のものか現時点で確認が取れていないため、リンクは外している。詳細は元記事から直接参照されたい。

詳細はStaying Ahead of Adversarial AI Through Agentic Source Code Reviewを参照していただきたい。