8月21日、NVIDIAが「NVIDIA AVO Reaches 100% on ARC-AGI-3, Demonstrating a Frontier-Level General-Purpose Architecture for Long-Horizon Autonomous Agents」と題した記事を公開した。NVIDIAが開発した汎用エージェントアーキテクチャ「AVO」が、ルールも目標も与えられない未知の対話環境で全レベルを解き切り、ARC-AGI-3の公開セットでRHAEスコア100.00を達成した。注目すべきは、GPUカーネル最適化用に設計されたアーキテクチャをそのまま転用した点にある——「モデルの強さ」ではなく「システムの設計」が長時間タスクのパフォーマンスを左右することを、この結果は端的に示している。
ARC-AGI-3で100%達成——AVOとは何か
NVIDIAの研究プロジェクトAgentic Variation Operators(AVO)(論文:arxiv.org/abs/2603.24517 ※公開時点でアクセスできない場合がある)は、長時間にわたる自律的なタスクをLLMに実行させるためのエージェントアーキテクチャだ。単にモデルを呼び出すだけでなく、「どう動き続けるか」を設計した点が核心にある。
AVOは、インタラクティブ推論ベンチマーク**ARC-AGI-3の公開セット(25環境・183レベル)を、RHAE(Relative Human Action Efficiency)スコア100.00**で完走した。全レベルを解いた。
ARC-AGI-3は、ゲーム的な未知の環境にエージェントを投入し、ルールも目標も説明なしに行動させるベンチマークだ。スコアには完了率だけでなく、人間の初回プレイと比較した行動効率も含まれる。「とにかく解く」だけでなく、「無駄なく解く」ことが求められる。
GPUカーネル最適化から汎用推論へ——同じアーキテクチャが転用された
AVOはもともとGPUカーネルの自律最適化のために開発された。NVIDIA DGX B200上での検証では、エージェントが7日間連続稼働し、500以上の最適化方向を探索、40のカーネルバージョンをコミット。結果として、マルチヘッドアテンションカーネルがcuDNNを最大3.5%、FlashAttention-4を最大10.5%上回る性能を示した。その後、同エージェントがグループクエリアテンションへの適応を約30分で完了させた。
ARC-AGI-3への適用で重要なのは、エージェントのバックエンドはそのままであり、タスク固有のツールとインターフェースだけを差し替えた点だ。GPUカーネル最適化と対話型推論ゲームは表面上まったく異なるが、エージェントが行う計算パターンは共通している:
- 不完全な証拠から仮説を立てる
- 外部インターフェースを通じて行動する
- 結果を観察し、状態を保持する
- 誤った仮定から回復し、長期にわたって前進する
ドメインが変わっても、エージェントのコアループは変わらない。
アーキテクチャの要:永続メモリと監視者(Supervisor)
AVOが長時間タスクを維持できる理由は、二つのメカニズムにある。
永続メモリは、過去の実装、評価結果、コンパイラ・プロファイラの出力、蓄積された推論を引き継ぐ。単一コンテキストウィンドウの制約を超えて作業を継続できる。
Supervisor(監視エージェント)は、探索が停滞したり非生産的なループに陥った場合に、メインエージェントに別の戦略を取るよう促す。7日間のカーネル最適化では、メインエージェントが検査・変更・テスト・評価を担い、Supervisorが停滞時の方向転換を担った。
他システムとの比較:行動効率で12%優位
同じARC-AGI-3公開セットを完走したシステムとして、VISTAがある。VISTAはClaude Opus 5を用いて183レベルを7,542アクションで完了したのに対し、AVOは6,624アクション——約12%少ない行動数で同じ結果を出した。
ただしNVIDIA自身が強調している通り、両システムはエージェントバックエンド、観察表現、メモリ、コンテキスト管理など多くの点で異なるため、単純な比較としては解釈できない。また、AVOの観察インターフェースはテキストのみ(64×64のテキストグリッド)で、画像トークンを一切使用していない点も設計上の違いだ。
なお、元記事ではVISTAとの行動数比較が主な文脈となっており、Claude Opus 5単体でのARC-AGI-3公開セット正解率については本文中に出典が示されていないため、本記事では該当の数字は参照しない。「モデル単体の評価」と「エージェントシステムとしての評価」は別物であり、AVOの100%達成はあくまで後者の結果として捉えるべきだ。
「モデルがすべてではない」
AVOの成果が示す最も大きな示唆は、長時間タスクにおけるパフォーマンスはモデル単体ではなくシステム全体の設計に依存するという点だ。メモリが何を引き継ぎ、ツールが何を可能にし、フィードバックがどう進捗を根拠づけ、リカバリーがどう継続を支えるか——これらがそろってはじめてフロンティアモデルの能力が有効に機能する。
詳細はNVIDIA AVO Reaches 100% on ARC-AGI-3, Demonstrating a Frontier-Level General-Purpose Architecture for Long-Horizon Autonomous Agentsを参照していただきたい。




