9月2日、Futurismが「Employees Absolutely Loathe AI in the Workplace, Survey Finds」と題した記事を公開した。職場でのAI導入に対する従業員の否定的感情が急速に高まっているというGlassdoorの調査結果を詳しく紹介している。
AIへの肯定率、2019年の81%から2026年は43%に急落
Indeed傘下の職場レビューサイトGlassdoorが、従業員レビューにおける「AI」言及の傾向を分析した。2019年に追跡を開始して以来、AIへの言及数は年々急増しており、2025年5月から2026年5月の1年間だけで240%増という爆発的な伸びを示している。
問題は量だけではない。内容が大きく変わった。2019年時点では81%が肯定的だったAIへの言及が、2026年には43%まで低下した。逆に否定的な言及は2025年の41%から2026年には53%に増加しており、感情の逆転が急速に進んでいる。
意外な「AIヘイター」上位職種
職種別に見ると、AIへの批判的な傾向にいくつかの意外な顔ぶれがある。
ライター・編集者・ジャーナリストが**81%**の否定率でAIを嫌っているのは想定の範囲内だろう。注目すべきは、それ以外の職種だ。
- 会計士:AIへの言及の**80%**が否定的
- 保険査定担当者(Insurance Claims Adjustor):なんと**98%**が否定的 ——ダントツの首位
保険査定担当者は、損害保険の申請内容を審査・評価する専門職で、判断の正確さと専門知識が求められる業務だ。元記事によれば、この職種でとりわけ否定率が高い背景として、AIが査定業務そのものに組み込まれることで、従来は人間の裁量と専門性に委ねられてきた判断プロセスが置き換えられることへの強い反発があるとされている。「AIに仕事を奪われる」という抽象的な恐怖ではなく、具体的な業務フローへの介入を実感しやすい職種であることが、他を大きく引き離す数字に表れているとみられる。
「仕事を奪う」だけじゃない——不満の内訳
Glassdoorのデータによると、2025〜2026年のAIへの否定的コメントの内訳は以下のとおりだ。
- **20%**:経営陣がAIを「雇用削減の道具」として使っている
- **14%**:AIツールの使用を強制する「AI押し付け」職場への不満
- **13%**:AI導入が本来業務の「妨げ」になっている
- 10%:AIを使った監視強化など、従業員を「疎外」するための利用
Glassdoorのリサーチチームは次のようにまとめている。
「AIに仕事を奪われる恐怖だけが問題なのではない。製品へのAI組み込みの強制、社内ツールとしての使用強制、そして雇用主がAIを使って従業員を監視したり、コミュニケーションを取ったりすることへの反感が広がっている。」
否定的感情の過半数が「強制」「監視」「業務妨害」に向けられているという内訳は、経営層が想定しがちな「AI=雇用脅威」という単純な図式では現場の不満を捉えきれないことを示している。
導入側と現場側の溝
この調査が示すのは、AI導入を進める経営層と、それを日々使わされる現場との間にある深い認識のギャップだ。Futurismが別途報じた調査では、経営幹部の90%がAIは生産性向上に貢献しなかったと認めつつも、人員削減は継続する意向を示しているという(関連記事)。なお、この数字はGlassdoor調査とは別の調査に基づくものであり、出典が異なる点に留意されたい。
現場の不満は「AIが使えない」という技術的な問題にとどまらず、強制・監視・雇用不安という組織的な問題と絡み合っている。数字の変化が示すように、感情の悪化は加速している。肯定率が過半数を割り込んだ2026年の時点で、AI導入の「やり方」そのものを問い直す議論が、経営層にとって避けられない局面に入っていることを、このデータは示唆している。
詳細はEmployees Absolutely Loathe AI in the Workplace, Survey Findsを参照していただきたい。




