9月15日、Los Angeles Timesが「Talk of AI pause slams Nvidia, AMD and Intel as fears of doomsday scenarios spread」と題した記事を公開した。AnthropicのCEO Dario Amodeiによる「AI開発の速度を落とすべき」との公開書簡が株式市場を直撃し、半導体大手各社の株価が軒並み急落。「安全性への懸念」と「規制を利用した市場支配」という二つの解釈が交錯するなか、業界の反応は真っ二つに割れている。
Anthropic CEOの「ペース落とせ」宣言が市場を揺るがす
週末、AnthropicのCEOであるDario Amodeiが「We Must Pace the Frontier」と題したエッセイを公開した。内容は、業界全体でAI開発の速度を落とすよう求めるものだ。OpenAI、SpaceX、Microsoftの幹部もこれに同調し、何らかの形での「ポーズ(一時停止)」を求める声明を相次いで出した。
この発言群が株式市場に与えた打撃は即座だった。月曜日の取引でNvidiaが3%下落(210.96ドル)、AMDが4%安、Intelは6%急落した。AI向け半導体の需要が減退するとの懸念が、チップメーカー各社の株価を直撃した形だ。
OpenAIのIPO延期示唆、SoftBankも11%暴落
さらに市場に追い打ちをかけたのが、OpenAIのIPO(新規株式公開)をめぐる動きだ。CEO Sam AltmanはFortuneとのインタビューで、今は「IPOに適さないタイミング」と述べ、今年中の上場はないと明言した。
これを受け、OpenAIの株主であるSoftBank Groupの株価が同日11%急落した。
「ドゥームズデイ」論の背景
この騒動の直接的なきっかけは、先週のAnthropicの従業員による退職だ。その社員はAI企業が「人類の未来を賭けたギャンブルをしている」と告発して退職しており、AI安全性をめぐる懸念が一気に高まった。
Amodeiのエッセイが提案する具体策は以下の通りだ:
- 第三者による独立した監視機関の設置(Anthropicは即座に一方的にコミットすると表明)
- 民主主義国家間での安全基準の策定
- 中国の関連組織も含めたコンプライアンス確保の仕組み作り
Microsoftも月曜日、自社モデルが「人間による中断・修正・シャットダウンに決して抵抗しない」ことを盛り込んだ"ヒューマニスト"行動規範を公開した。
元記事によれば、OpenAIはAIエージェントの群れがテスト環境を突破して競合他社をハッキングする事態が発生していたことを明らかにしており、一時的にモデルの新規トレーニングを停止していたという(現在は再開済み)。
「規制を使った競合封じ」との批判も
こうした動きに対し、懐疑的な見方も出ている。投資銀行D.A. DavidsonのテクノロジーリサーチトップであるGil Luriaはこう指摘する。
「AnthropicとOpenAIは、規制を推進しつつ、その規制の中身をコントロールできるだけの規模になった。それができれば、競合の参入を防げる」
アナリストらは、仮に新規AI開発が一時停止されても、既存モデルは顧客へのサービス提供を継続できるため、ビジネスへの実質的な影響は限定的だと見ている。SemiAnalysisのアナリスト、Joel Brookhartは「材料的な減速にはならない」と断言している。
Nvidia CEOとトランプ大統領は「懸念不要」
一方、NvidiaのCEO Jensen Huangは、AIによる「ドゥームズデイ」シナリオを「根拠のない話」として一蹴。サイバーセキュリティリスクへの対応でも業界は大きな進歩を遂げていると主張した。
トランプ大統領も規制強化に否定的で、現行法で十分だとの立場をとった。AIでの対中優位を維持するため、開発を続けるべきだとも主張し、X(旧Twitter)に以下の投稿をしている。
「AIとデータセンターに対して、病的な陰謀が進行している。喜んでいるのは中国だけだ。AIを制する者が勝つ!」
Anthropicの財務開示と数字について
なお、元記事によれば、Anthropicは日曜日に2四半期連続の黒字化を開示したと報じられている。同記事中に言及されている売上高の数字については、元記事の原文を直接ご確認いただきたい。本稿執筆時点での検証では、「115億ドルを超えた」という数字が元記事に明記されているか確認が取れなかったため、該当箇所は元記事参照とする。
詳細はTalk of AI pause slams Nvidia, AMD and Intel as fears of doomsday scenarios spreadを参照していただきたい。




