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MediaTekの新チップ、クラウドなしで300億パラメータのAIモデルをスマホ単体で動かせると発表 — TSMC 2nm採用、Snapdragon 8 Elite Gen 6 Proとの競合へ

9月15日、Omar Sohailが「MediaTek's Dimensity 9600M And Dimensity 9600 Pro Go Official; New "2 + 3 + 3" CPU Cluster With LPDDR6 RAM Support, Capable Of Handling 30B Local AI Models & More」と題した記事を公開した。MediaTekが正式発表した「Dimensity 9600 Pro」および「Dimensity 9600M」は、クラウドを介さずに300億パラメータ(30B)のLLMをデバイス単体で実行できるという。スマートフォン向けSoCとして30Bという規模は従来比で大幅な引き上げであり、エッジAI推論の現実解として業界の注目を集めている。

9月15日、Omar Sohailが「MediaTek's Dimensity 9600M And Dimensity 9600 Pro Go Official; New "2 + 3 + 3" CPU Cluster With LPDDR6 RAM Support, Capable Of Handling 30B Local AI Models & More」と題した記事を公開した。MediaTekが正式発表した「Dimensity 9600 Pro」および「Dimensity 9600M」は、クラウドを介さずに300億パラメータ(30B)のLLMをデバイス単体で実行できるという。スマートフォン向けSoCとして30Bという規模は従来比で大幅な引き上げであり、エッジAI推論の現実解として業界の注目を集めている。


30BパラメータのLLMをオンデバイスで処理——エッジAIの現実解として注目

Dimensity 9600 Proは、300億パラメータ(30B)のMoE(Mixture-of-Experts)モデルをデバイス単体で実行できるとMediaTekは主張する。INT4演算性能は前世代比で2倍に向上している。

MoE(Mixture-of-Experts)とは、入力に応じて一部の専門的なサブネットワークのみを活性化するモデルアーキテクチャで、全パラメータを常時使用する密なモデルより推論コストを抑えられる。オンデバイスAI推論において注目される手法であり、スマートフォン向けとして30Bというパラメータ規模は、エッジAI分野における一つの到達点と言える。

NPUまわりの構成は以下のとおりだ:

  • NPU 1090(デュアルAIエンジン):LLMのプリフィル性能を51%向上、トークン生成効率(性能/ワット)を55%改善
  • Super Efficient NPU 2.0:バックグラウンドの常時センシングや文脈処理を担い、消費電力を40%削減
  • Generative AI Engine 3.0 / Agentic AI Engine 3.0を搭載
  • ローカルAIモデルの起動速度が27%高速化、LLMトークン生成速度が40%向上

TSMC 2nmと「2+3+3」CPUクラスタ——アーキテクチャの詳細

Dimensity 9600 ProはTSMC 2nmプロセスで製造される。CPUは新しい「2+3+3」クラスタ構成を採用した全ビッグコア設計(All Big Core)だ:

コア 種別 クロック
2コア Arm C2-Ultra 4.55GHz
3コア Arm C2-Pro 4.35GHz
3コア Arm C2-Pro 3.10GHz

前世代比ではシングルコア性能17%向上マルチコアスループット15%向上を達成しながら、シングルコア効率が37%向上、マルチコアのピーク消費電力が61%削減されている。

メモリはLPDDR6に対応し、有効帯域幅が33%拡大。ストレージはUFS 5.0で、標準的な2チャンネルUFS 4.0と比べて読み書き速度が2倍になる。L2/L3/SLCキャッシュの合計は34.5MBで、L2キャッシュは前世代比21%増だ。

GPUはArm Mali G2-Ultra NXで、ピーク性能が27%向上、電力効率が24%改善、ハードウェアレイトレーシングが18%高速化している。185FPSゲーミングをサポートするとしている。


Dimensity 9600M——同じ2nmだが仕様を抑えたモデル

Dimensity 9600Mは同じTSMC 2nmで製造されるが、CPUは旧来の「1+3+4」オクタコア構成(Arm C1世代)で、メモリもLPDDR5X(最大10,667MT/s)、ストレージは4レーンUFS 4.1にとどまる。

GPU(Arm Mali-G1 Ultra MC12)はWQHD+/180Hzディスプレイを駆動でき、トリフォルド(三つ折り)ディスプレイ構成にも対応する。ISPは最大320MPの単眼センサーに対応し、8K/60FPS動画撮影、4K/120FPS(EIS付き)にも対応する。AI処理はNPU 990が担う。


その他の主要仕様(Dimensity 9600 Pro)

  • カメラISP:Imagiq 1290、4K 240FPSスローモーション、CS-ISP 4K 60FPS映画モード
  • ディスプレイ:DCI-P3より38%広い色域、Panel OverDriveマルチフレーム補正
  • 通信:サブ6GHz・mmWave 5G対応、Tri-SIM/Tri-Standby、Bluetooth 6.2

Snapdragon 8 Elite Gen 6 Proとの競合——エッジAI覇権争いの焦点

エッジAI推論を巡っては、QualcommSamsung Exynosも自社SoCのNPU強化を継続しており、スマートフォン向けオンデバイスAIは業界全体で急速に高度化が進んでいる。MediaTekがDimensity 9600 Proで30BのMoEモデル実行をアピールするのも、こうした競争の文脈での差別化戦略と見ることができる。

直接の競合として元記事が名指しするのは、Qualcommの次期フラッグシップ「Snapdragon 8 Elite Gen 6 Pro」だ。QualcommはこれまでもオンデバイスLLM対応をSnapdragonの主要訴求点としてきたが、MediaTekは今回のDimensity 9600 Proで正面から対抗する構えを見せている。NPU性能・電力効率・対応パラメータ規模のいずれでも数値的な優位を主張しており、実機搭載後の実測比較が注目される。

Dimensity 9600 ProおよびDimensity 9600M搭載スマートフォンは、今後登場予定とされているが、具体的な発売時期については元記事時点では明記されていない。


詳細はMediaTek's Dimensity 9600M And Dimensity 9600 Pro Go Official; New "2 + 3 + 3" CPU Cluster With LPDDR6 RAM Support, Capable Of Handling 30B Local AI Models & Moreを参照していただきたい。