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Deep Dive

中国AI全社合計でもOpenAI・Anthropicの10分の1 — 収益格差とバリュエーション乖離が上場控えた各社に突きつけられる

9月17日、CNBCが「OpenAI and Anthropic are making 10 times more revenue than all Chinese AI models combined, research group Rhodium says」と題した記事を公開した。米調査会社Rhodium Groupが、中国AIモデル全社合計の収益がOpenAIとAnthropicの約10分の1に留まるとの推計を発表したものだ。

9月17日、CNBCが「OpenAI and Anthropic are making 10 times more revenue than all Chinese AI models combined, research group Rhodium says」と題した記事を公開した。米調査会社Rhodium Groupが、中国AIモデル全社合計の収益がOpenAIとAnthropicの約10分の1に留まるとの推計を発表したものだ。


中国AI勢の収益、米国勢の10分の1

Rhodium Groupが発表した推計によると、中国のAIモデル各社のARR(年間経常収益)を合計しても、OpenAI単体の40億ドルや、Anthropicの65億ドルには遠く及ばない

なお、ARR(Annual Recurring Revenue)とは、直近の月次収益を12倍することで年間ベースの成長規模を示す業界指標だ。SaaSや急成長企業の評価に広く使われるが、あくまで推計値であることに留意が必要だ。Rhodium Groupは中国テック・エネルギー分野を専門とする調査会社で、今回の推計は企業開示・業界ヒアリング・公開データをもとに算出されているが、各社が非公開の数値である点から、推計の性質上一定の誤差を含む可能性がある。

中国主要AI企業のARRは以下の通り:

企業 ARR
DeepSeek 5億ドル
MiniMax 8億ドル
Moonshot 10億ドル
Z.ai 18億ドル
Alibaba 24億ドル
ByteDance 40億ドル
中国合計(概算) 約105億ドル
OpenAI 40億ドル
Anthropic 65億ドル

中国主要6社の合計が約105億ドルに対し、OpenAIが40億ドル・Anthropicが65億ドル——つまり米国2社の合計105億ドルとほぼ並ぶ水準だ。ただしOpenAIとAnthropicはそれぞれ単体でこの水準に達しており、中国勢は6社の総力を結集して初めて並ぶという構図になっている。「10分の1」という表現はOpenAI単体(40億ドル)に対してDeepSeekやMiniMaxなど下位企業が個別に大きく見劣りする点を指した比喩的な強調であり、合計値の比較では各社の規模感の差がより正確に伝わる。

DeepSeekはオープンソース公開で世界的な注目を集めたが、ARRは5億ドルと中国主要勢の中で最低水準だ。オープンソースモデルは誰でも自前のハードウェアで動かせるため、開発元の収益には直結しにくい構造にある。


収益に見合わないバリュエーション

Rhodiumが特に問題視しているのが、収益に対するバリュエーション(企業価値評価)の乖離だ。

  • Moonshot:収益の50倍
  • DeepSeek:収益の163倍

対してOpenAIは34倍、Anthropicは21倍。中国スタートアップの倍率は米国勢を大幅に上回り、「Moonshot・DeepSeekのバリュエーションは現時点では法外に見える」とRhodiumのレポートは指摘する。

DeepSeekの163倍という数字について、本文中に企業価値の絶対額は明示されていないが、ARRが5億ドルであることから逆算すると企業価値は約815億ドル相当とRhodiumは推計していることになる。元記事では詳細な算出方法は開示されていないため、あくまで参考値として捉えるべきだ。

タイミングも重なる。AnthropicはIPOを来月(10月)に控えているとされ、OpenAIは来年への上場延期を発表。中国側ではMoonshotが香港IPOに向けて非公開申請を行い、DeepSeekも上場準備を進めていると報じられている。各社が株式市場で評価を問われる局面が近づく中で、この収益格差とバリュエーション乖離は投資家にとって重要な判断材料となる。


「資金調達の差が持続的なスケールを困難にする」

Rhodium Groupのパートナー、Logan Wright氏は声明でこう述べている。

「この資金調達格差は、中国のフロンティアAIラボが持続的なスケールを達成することを大幅に困難にする。中国の株式市場が好調な環境に大きく依存することになるが、歴史的にそれは簡単な賭けではない」

政府支援についても言及があり、Rhodiumの推計では中国のAIチップ・サーバーへの株式投資の60%超が国家関連ソースから来ている。ただし、政府資金はハードウェア・計算資源の整備には流入しているものの、フロンティアラボへの直接支援には慎重な姿勢が続くとRhodiumは見ている。収益基盤の自律的な成長なしに、国家依存の資本構造が続く限り、スケールアップの持続性には構造的な疑問符がつくという指摘だ。


中国AI企業の株価も波乱

市場の反応も厳しい。Hong Kong上場のZ.ai株は今週初めに急落後、木曜午前に5%超の反発を見せたが、夏場に3倍超まで上昇した水準からは大きく後退している。MiniMaxも春先の急騰後、IPO初日の終値水準を維持することに苦労している状況だ。収益実態と市場期待の乖離が意識され始めた結果とも読める。


収益という指標でみると、中国AIモデルが急速に普及しているにもかかわらず、マネタイズの実力では米国との差が依然として大きい。上場を控えた各社がこの収益格差とバリュエーションの乖離をどう説明するかが、今後の焦点となる。

詳細はOpenAI and Anthropic are making 10 times more revenue than all Chinese AI models combined, research group Rhodium saysを参照していただきたい。