9月24日、Ramish Zafarが「Silicon Wafer Prices to Surge 40% in 2027 as AI Demand Squeezes the Chip Supply Chain」と題した記事を公開した。台湾のCTEEのレポートを基に、AI需要の急拡大を背景としたシリコンウェハーの価格・出荷量の同時急増を報告している。2027年の単年上昇率が**最大40%、2026〜2028年の累計では約80%**という数字は、半導体サプライチェーンの最上流でかつてないコスト圧力が生じつつあることを示している。
12インチウェハーが1枚166ドルへ——2026〜2028年で約80%の価格上昇
CTEEのレポートによれば、シリコンウェハーの価格は今後急速に上昇する見込みだ。具体的な数字は以下の通りである。
| 年 | ウェハー単価(1枚あたり) |
|---|---|
| 2026年 | 92ドル |
| 2027年 | 122ドル |
| 2028年 | 166ドル |
2026年から2028年にかけての累計で約80%の価格上昇という試算だ。なお、元記事タイトルにある「40%」は2027年単年における特定品種(ポリッシュドウェハー)の上昇率であり、80%は同期間全体の総上昇率を指す。両者は矛盾しておらず、切り取る時間軸と品種の違いによる数字であることに注意が必要だ。
出荷数量も同様に伸びており、2026年の月次1,190万枚から、2027年に1,610万枚、2028年には2,170万枚へと拡大すると予測されている。価格と数量がともに急増するという、サプライヤーにとっては有利な局面が続く見通しだ。
ポリッシュドウェハーとエピタキシャルウェハー——価格上昇率に差
シリコンウェハーには主に2種類ある。
- エピタキシャルウェハー:単結晶シリコン層を表面に成長させたウェハー。TSMCをはじめとするAIチップ製造で最も広く使われる。
- ポリッシュドウェハー:研磨加工を施した基本的なウェハー。
今回のレポートが特に注目しているのはポリッシュドウェハーで、2027年の価格上昇率は**40%と予測されている。エピタキシャルウェハーの15〜25%**と比べて上昇幅が大きく、用途や需給構造の違いが価格に反映されている形だ。
AI需要がサプライチェーン全体を締め上げる構図
価格上昇の背景にあるのは、AI向けインフラへの設備投資の急拡大だ。CTEEのレポートは2027年の半導体市場全体についても強気な見通しを示しており、以下の数字が挙げられている。
- CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)の生産能力:前年比70.9%増
- GPU・カスタムAI ASIC(特定用途向け集積回路)の需要:同44.9%増
CoWoSはNVIDIAのH100/H200などのAIアクセラレーターで採用されているTSMCの先進パッケージング技術で、HBM(広帯域メモリ)とGPUダイを同一基板上に実装するものだ。この工程でもシリコンウェハーは消費されるため、パッケージング段階での需要増もウェハー価格の押し上げ要因になっている。
長期契約(LTA)争奪が始まる
スポット価格(市場での都度取引価格)の上昇は、半導体メーカー各社に長期供給契約(LTA: Long-Term Agreement)の締結を急がせている。LTAとは、あらかじめ価格と供給量を固定する契約で、価格高騰リスクをヘッジする手段として機能する。すでにHBMなどのメモリチップでは主要プレイヤーがLTAを活用しており、シリコンウェハーでも同様の動きが広がる可能性をレポートは指摘している。
グローバルなシリコンウェハー供給はアジアとドイツに集中しており、主要企業はGlobalWafers(台湾)、SUMCO(日本)、信越化学工業(日本)などごく少数に限られる。これら上位数社で世界市場の大部分を占めるため、需要急増局面での価格交渉力はサプライヤー側が強い構造になっている。供給源が限られている以上、買い手側の半導体メーカーがLTAを通じて早期に供給枠を確保しようとする動きは自然な帰結だ。
シリコンウェハーはAIチップ製造の最上流に位置する素材であり、ここでのコスト上昇はGPU、メモリ、最終製品の価格にじわじわと波及する。2027年に向けてAIインフラ投資がさらに加速するなか、半導体サプライチェーン全体のコスト構造が変わりつつある。
詳細はSilicon Wafer Prices to Surge 40% in 2027 as AI Demand Squeezes the Chip Supply Chainを参照していただきたい。




