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MetaのAIエージェント「Muse」がApp Store急上昇、株価も1年ぶり高値圏へ — 「他社プラットフォーム依存」からの脱却を本格始動

9月25日、CNBCが「Meta nears first new high in a year as Muse success showcases winning AI strategy」と題した記事を公開した。MetaがAIパーソナルエージェント「Muse」の好調を受けて株価が約1年ぶりの高値圏に迫り、スマートフォン時代に続いてきた「他社プラットフォーム依存」からの脱却を本格的に進めているAI戦略の全貌を伝える内容だ。

9月25日、CNBCが「Meta nears first new high in a year as Muse success showcases winning AI strategy」と題した記事を公開した。MetaがAIパーソナルエージェント「Muse」の好調を受けて株価が約1年ぶりの高値圏に迫り、スマートフォン時代に続いてきた「他社プラットフォーム依存」からの脱却を本格的に進めているAI戦略の全貌を伝える内容だ。


Muse成功でMetaの株価が急反発

Meta Connectカンファレンス(9月24日)でのZuckerberg CEOの基調講演を受け、Metaの株価は翌日に約4%上昇し1株あたり約773ドルに達した。2025年8月の終値最高値である790ドルまで残りわずかだ。わずか1か月前には600ドルを下回って低迷していたことを考えると、急激な回復である。

その起爆剤となったのが、新型AIモデルの投入とその直後にリリースされたMuseアプリだ。App Storeのランキングを急上昇し、「パーソナルエージェント」というコンセプトを一般ユーザーへ広く印象付けた。

記事では今回の発表を「消費者普及に必要な三拍子:製品・価格・プライバシー」が揃ったと評価している。


製品ラインナップ:スマートグラスからVRグラスまで

スマートグラスの拡充

新スタイルの追加に加え、カメラなしモデルも登場した。「Museに常に見られたくない」というプライバシー懸念層を取り込む狙いだ。また一部モデルにはFDA(米食品医薬品局)認可の市販補聴器機能が搭載される。

価格はカメラ付きモデルが249ドルから、カメラなしのRay-Banモデルが349ドルからとなっている。※元記事の記載通りに転載しているが、一般的にカメラなしモデルの方が安価になる傾向があるため、購入検討の際は公式サイトで最新情報を確認されたい。Affirm経由で0%分割払いも利用可能で、価格競争力は高い。

本命:VRグラス(2027年春発売予定)

これまでのQuestシリーズのようなヘッドセット型ではなく、真の意味でのVRグラス形状を採用した新製品が発表された。開始価格は1,299ドルで、同カテゴリの競合であるApple Vision Pro(3,699ドル)の約3分の1だ。記事はVision Proについて、技術力は評価しつつも「形状・重量・価格が普及の壁になった」と率直に指摘している。

Muse Charm(年内リリース予定)

「たまごっち」型のキーホルダーデバイス。Museエージェントをどこにでも持ち歩けるコンセプトで、現在テスト段階にある。


Museのエコシステム戦略:コネクター拡大が核心

Museが真価を発揮するのはエージェントとしての「自律実行能力」だ。OpenTableによる予約、カレンダーへのイベント追加といった既存機能に加え、Walmart・Best Buy・Gap Incが新パートナーとして加わった。先行発表されていたShopifyやExpediaを合わせると、主要小売・旅行サービスを広くカバーしつつある。

AmazonがMuseのマーケットプレイスへのアクセスをブロックしている点は、今や「例外」として映ると記事は指摘する。

Morgan Stanleyはこのコネクター戦略について、30兆ドルの消費者エージェント支出TAM(Total Addressable Market=獲得可能な潜在市場規模の総量)を解放する可能性があると試算し、トップピック指定を維持した(目標株価は775ドルで据え置き)。※記事公開時点の株価773ドルと目標株価がほぼ同水準であり、短期的な上値余地は限定的に見える点は留意したい。JPMorganは目標株価を820ドルから920ドルに引き上げ、「MuseはChatGPT以来最も広く使われる消費者向けAIアプリになる可能性がある」と述べた。

マネタイズモデルは明確で、有料サブスクリプション(パワープランが月20ドル、マキシマムプランが月100ドル)と、エージェント経由の取引に対する少額手数料の二本柱だ。現在広告がFactSet推計で年間254億ドルの収益のほぼ全てを占めるが、Museはそれとは全く異なる収益源を構築する。


プライバシー:Metaの最大の課題

Museが「自分のことを何でも知っているエージェント」になるほど、プライバシーへの懸念は大きくなる。FacebookやInstagramで培ってきたMetaのプライバシー面での評判は芳しくなく、これが普及の最大の障壁になりうる。

Zuckerbergは基調講演でこの点を正面から取り上げた。現在Museはセキュアな仮想マシン(VM)上で動作している。さらに今後、コンフィデンシャルVM(Confidential VM=ホスト側のOSやハイパーバイザーからもメモリ内容を保護する機密計算技術。Googleのドキュメントに概要がある)を導入することで、「Metaのサーバー側からもそのデータを見られない」状態を実現するという。スマートグラス向けにも、ライブ翻訳などのAI処理をセキュアな仮想サーバー内で完結させる「プライベート処理」の構築を進めている。

カメラなしグラスの投入も、同社のイメージ刷新に一役買う。とはいえ、WalmartやExpediaといった外部サービスと連携するMuseを信頼してもらうためには、まだ相当の実績が必要になる。


まとめ:プラットフォーム依存からの脱却が本格局面へ

Metaはスマートフォン時代、AppleのApp StoreやGoogleのPlay Storeというサードパーティのプラットフォームに収益の根幹を依存してきた。アプリの配信もユーザーデータの取得もプラットフォーム側のルールに縛られ、その構造的な弱さはZuckerbergが長年指摘してきた経営課題だ。Museと自社ハードウェアはその突破口であり、記事はZuckerbergが目指す方向を「AppleやGoogleに依存しない、自前のエコシステムを持つプラットフォーム企業への転換」と位置づけている。

ただし競争環境は急速に厳しくなっている。Appleは今月からSiriのアップグレード版をベータ展開しており、数億台のiPhoneを基盤とした対抗エコシステムの整備を進めている。またOpenAIのGPT-4oベースのエージェント機能やGoogleのGemini Liveとの差別化も問われる。MetaにとってMuseの成否は、単一アプリの勝敗を超え、次世代プラットフォーム争いそのものを左右する試金石となる。

詳細はMeta nears first new high in a year as Muse success showcases winning AI strategyを参照していただきたい。