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Deep Dive

AIエージェントを「クビにできる人間がほぼいない」— CIOの81%が自社エージェントを把握できていない実態

9月25日、The Next Webが「'Almost nobody can fire an agent': CIOs and the AI agent oversight gap」と題した記事を公開した。AIエージェントの管理体制が企業内で機能不全に陥っている実態を示す調査結果について詳しく紹介されている。

9月25日、The Next Webが「'Almost nobody can fire an agent': CIOs and the AI agent oversight gap」と題した記事を公開した。AIエージェントの管理体制が企業内で機能不全に陥っている実態を示す調査結果について詳しく紹介されている。


「エージェントをクビにできる人間がほぼいない」

AIエージェントの活用が企業内で急速に広がる一方、その管理体制は追いついていない。データサイエンス・AI基盤を提供するDataikuが685名のCIOを対象に実施した調査によれば、81%のCIOが、正規チャネル外で作られたAIエージェントを完全には把握できていないと回答した。

調査はHarris Pollが2025年7月9日〜29日にオンラインで実施。対象は米国、英国、フランス、ドイツ、UAE、日本、韓国、シンガポールのCIOで、結果は年次カンファレンス「Succeed」にてGlobal AI Confessions Report: CIO Editionとして公開された。


「動いているのは知っている。成果を出しているかは知らない」

調査の最も鋭い矛盾はここに現れている。

  • **90%**のCIOは「全エージェントを追跡している」と回答
  • しかし**72%**は「そのエージェントが目的の業務成果を出しているかを確認できていない」と認めた

つまり、「稼働中かどうか」は見えているが、「価値を生んでいるかどうか」は見えていない。

DataikuのCEOで共同創業者のFlorian Douetteauはこう述べた。

「モニタリングはエージェントが動いていることを教えてくれる。マネジメントはエージェントが動き続ける権利を持っているかを判断する。今はほぼ誰もエージェントをクビにできていない」

その他の数字も厳しい実態を示している。

  • **67%**が本番稼働中のエージェントを51個以上と見積もっている
  • **83%**が組織横断の標準的なライフサイクル管理を持っていない
  • **47%**が今年だけで20個以上のエージェントをすでに廃止した
  • **84%**が「従業員がITが管理できる速度より速くエージェントを作っている」に同意
  • **60%**が、アプリ・ツール・IT環境を横断する中央AIガバナンス層を持っていない

エージェントが問題を起こした際の責任の所在も曖昧だ。CIOの回答は「チームの共同責任(23%)」「中央IT(21%)」「データ・AIチーム(20%)」「セキュリティ・リスク・コンプライアンス(18%)」と分散した。


CIOのキャリアも賭けられている

この問題は経営課題にとどまらず、CIO個人のキャリアにも直結している。

  • **88%**が「AIの成否が自分の評判やキャリアに影響する」と回答
  • **87%**が「CEOから、職の安定はAIの成果次第だと言われた」と回答
  • **76%**が「2027年末までに測定可能な成果がなければ自分のポジションが危うい」と予測
  • **72%**が「2026年末までに目標を未達成なら、AIバジェットが削減か凍結される」と見込む

米国のCIOは特に数字が厳しく、**94%が「従業員がITの管理速度を超えてエージェントを作っている」と答え、82%**が「過去18ヶ月で主要なAIベンダーまたはプラットフォームの選択を少なくとも一つ後悔している」と回答した。


Dataikuが同日リリースしたエージェント管理製品

調査と同じ日、DataikuはこのギャップへのソリューションとしてAgent Managementを発表した。これは社内に散らばるエージェントを一つのインベントリに集約するソフトウェアで、AWS Bedrock、Databricks、Google Vertex AI、Microsoft Copilot Studio、Azure AI Foundry、Salesforce Agentforce、Snowflake Cortexと接続する。10月に一般販売開始予定で、インスタンス単位の年間課金に加え、監視はエージェント単位で課金される。


業界全体が抱える構造問題

この課題はDataikuの調査に限った話ではない。Gartnerは2025年6月、2027年末までにエージェント型AIプロジェクトの40%以上がキャンセルされると予測しており、その理由としてコスト増大・ビジネス価値の不明確さ・リスク管理の不備を挙げている。AWSも公式ブログの中で、初期段階のエージェントプロトタイプの約90%が本番稼働に至らないと述べている。

こうした数字が示す構造問題の本質は、「エージェントを作る速度」と「管理・評価できる速度」の非対称性にある。ローコードツールやAI開発プラットフォームの普及により、現場の開発者や事業部門が独自にエージェントを構築・デプロイできるようになった一方、ガバナンスフレームワークや責任体制の整備はそのスピードに追いついていない。調査でも**83%**が組織横断のライフサイクル管理を持っていないと答えており、「作ることはできるが、止めることも評価することもできない」という状況が多くの企業で常態化しつつある。「エージェントが何百も動いているが、何をしているか分からない」という現実は、インフラとしてのAIを導入した企業が今まさに直面している問題だ。

詳細は'Almost nobody can fire an agent': CIOs and the AI agent oversight gapを参照していただきたい。