9月29日、FOSSPostが「AI Coding Statistics 2026 [Copilots, Code Volume And Trust]」と題した記事を公開した。2026年時点におけるAIコーディングツールの普及状況・コード生成量・信頼性・生産性に関する最新統計データをまとめた内容だ。AIコーディングツールへの投資・導入が加速する一方、品質・セキュリティ・生産性の実態は楽観論とは大きく異なる様相を呈しており、現場の開発者が直面するリアルな課題が数字として浮かび上がっている。
コードの47%をAIが書く時代へ
JetBrainsが2026年5〜7月に実施した1万5,000人以上の開発者調査によると、プロの開発者が先月書いたコードのうち、平均47%はAIエージェントが単独で生成したものだという。AIアシスト(補完・提案)を含めると38%、完全に手書きしたコードは27%にとどまる。
開発者の5人に1人は、AIなしではコードをほぼ書かない状態だ。80%以上のコードをエージェントから得ている開発者は全体の約22%に上る。
ツール別に見ると、OpenAI Codexのメインユーザーでは42%が「コードの80%以上をエージェントから得ている」と回答。Claude CodeユーザーとCursorユーザーがそれぞれ32%、28%と続く。
言語別ではGo・JavaScript・TypeScriptの開発者のエージェント依存度が最高で、コードの54〜55%をAIが生成。C/C++開発者は最も手動コードの割合が高く、38%前後を保っている。
地域差も顕著だ。中国・日本・韓国では32〜35%の開発者がコードの80%超をエージェントから得ているのに対し、欧州・英国では約16%にとどまる。
Googleの内部データも同じ方向を示している。
| 時期 | AIが生成した新規コードの割合 |
|---|---|
| 2024年10月 | 25%超 |
| 2025年秋 | 50% |
| 2026年4月 | 75% |
Sundar Pichaiが自ら言及したこの数字は、わずか1年半で3倍に増加した。
ツールシェアの急変:Claude CodeがCopilotを逆転
職場での利用率を見ると、Claude Codeの台頭が突出している。
| ツール | 2026年1月 | 2026年5〜7月 |
|---|---|---|
| Claude Code | 18% | 39% |
| GitHub Copilot | 29% | 21% |
| OpenAI Codex | 3% | 16% |
| Cursor | 18% | 12% |
| Google Antigravity ※ | 6% | 6% |
※ Google Antigravityは、Googleが提供するAIコーディング支援ツール。元記事においてツールシェア比較の対象として取り上げられている。
Claude Codeは半年で職場利用率が2倍以上に拡大し、開発者の31%にとって「メインのAIコーディングツール」となった。米国では47%が職場で利用している。
一方、GitHub Copilotはシェアを8ポイント落とした。それでもCopilotの認知度は79%を維持しており、有料サブスクライバーは2026年1月時点で470万人(前年比75%増)に達する。2026年7月時点ではGitHubの2億2,500万ユーザーのうち5,000万人がCopilotを利用(無料含む)している。
収益面ではClaude Codeが2026年2月12日時点で年換算25億ドルを突破。年初比で2倍以上の水準だ。Anthropicは、Claude Codeが公開GitHubコミットの4%を生成しているというSemiAnalysisの推計も引用している。
信頼と検証のギャップ
利用が急拡大する一方、信頼性への懸念は根強い。Sonarが1,100人以上の開発者を対象に実施した調査(2026年1月)では、次の構図が浮かぶ。
- 96%の開発者がAI生成コードを完全には信頼していない
- しかしコミット前に「毎回検証する」と答えたのはわずか48%
- AI生成コードのレビューは「同僚のコードより手間がかかる」と回答したのが38%
- 35%は職場の承認を経ない個人アカウント経由でAIツールを利用
「完全には信頼していない」にもかかわらず、検証を毎回行っている開発者は半数にも満たない。信頼できないと感じながらも、レビューの手間やワークフロー上の制約から検証が省かれているという構造的な問題が浮かぶ。
Stack Overflowの2025年調査(約4万9,000人)でも、AIの出力精度を「信頼する」は33%、「不信頼」は46%と、不信派が上回った。最大の不満は「ほぼ正しいが微妙に違う」(66%)で、「AIコードのデバッグに時間がかかる」が45.2%に上る。
セキュリティの現実:44%のタスクに既知の脆弱性
Veracodeが100以上のモデルを対象に実施したセキュリティテスト(2026年7月)では、AIが生成したコードのセキュリティ通過率は平均56%にとどまった。言い換えると、44%のコーディングタスクで既知の脆弱性が含まれるコードが生成されている。
モデル別ではGPT-5.5が68%でトップ、Qwen3.7-maxが50%で最下位。コード特化モデルの平均は51%で、汎用モデルと大差なかった。言語別ではJavaが30%と最も低い。
コードの約半分がAIによって生成される時代に、そのうち44%のタスクで脆弱性が混入するリスクがあるという数字は、「AIが書いたコードはそのままマージしない」という運用ルールの重要性を改めて示している。
生産性への影響:データは割れている
「AIで開発速度は上がるか」という問いへの答えは、まだ定まっていない。
METRが2025年初頭に実施したランダム化試験では、AI使用を許可されたタスクは19%余分に時間がかかった(信頼区間:+2%〜+39%)。2025年後半のフォローアップでは速度向上を示すデータも出ているが、いずれも信頼区間がゼロをまたいでおり、統計的に確定的な結論を出せる状況ではないとMETR自身が認めている。
参加者の30〜50%が「AIなしでやりたくないタスクは割り当てを断った」と回答しており、これが測定上の速度向上を押し下げている可能性も指摘されている。
一方、Stack Overflowの2025年調査ではAIエージェント利用者の69%が「生産性が上がった」と回答しており、自己評価と実測値の乖離が際立つ。「体感では速くなった」という開発者の実感と、ランダム化試験が示す数字の乖離は、今後のAIコーディング研究における核心的な問いとなりそうだ。
詳細はAI Coding Statistics 2026 [Copilots, Code Volume And Trust]を参照していただきたい。




