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ビジネス・マーケット

「ビッグショート」のバーリ、AIバブル崩壊を前倒し予測 — MicronやPalantirのプットオプションに戦術転換

9月29日、CNBCが「Michael Burry believes the AI bubble 'may burst' sooner than he first believed」と題した記事を公開した。2007〜2009年の世界金融危機を予測した伝説的投資家マイケル・バーリが、AIバブル崩壊の到来を「当初の想定より早い」と判断し、ショートポジションからプットオプションへと戦術を転換した。VIXが異例の低水準にある今こそが、安価に大きなダウンサイドエクスポージャーを取れる好機だと判断した格好だ。

9月29日、CNBCが「Michael Burry believes the AI bubble 'may burst' sooner than he first believed」と題した記事を公開した。2007〜2009年の世界金融危機を予測した伝説的投資家マイケル・バーリが、AIバブル崩壊の到来を「当初の想定より早い」と判断し、ショートポジションからプットオプションへと戦術を転換した。VIXが異例の低水準にある今こそが、安価に大きなダウンサイドエクスポージャーを取れる好機だと判断した格好だ。


バーリがタイムラインを前倒し

マイケル・バーリは、2007〜2009年の世界金融危機前に米住宅市場の崩壊を予測したことで知られる投資家だ。その実話を基にした2015年の映画『マネー・ショート』によって広く知られるようになり、現在もScion Asset Managementを率いている。彼は月曜日の投資ニュースレターで、AIブームへの弱気見通しのタイムラインを繰り上げると明言した。

「根本的に、私はタイムラインを前倒ししている。そのため、ショートポジションにより多くのレバレッジを効かせたい。タイムラインが短くなれば、レバレッジはより扱いやすくなる。レバレッジといえばオプション、今回はプットオプションだ。VIXなどのボラティリティ指標が異例なほど低く抑えられているため、割安に手に入る」

VIX(CBOE Volatility Index、いわゆる「恐怖指数」)が低水準にある局面では、市場参加者が将来の価格変動をさほど大きく見込んでいないため、プットオプションのプレミアム(購入コスト)が安くなる。オプション価格は将来の予想変動幅(インプライド・ボラティリティ)に連動して決まるため、VIXが低いほど同じ行使価格のプットでも割安に取得できるという構造だ。バーリはこの状況を利用し、より少ないコストで大きなダウンサイドへのエクスポージャーを取りに来た格好だ。


具体的なポジション転換の内容

バーリが開示した主なポジション変更は以下の通りだ。

  • Micron(MU): ショートポジションを、6月限・行使価格100ドル台前半のプットオプションに切り替え
  • Nebius(NBIS): ショートポジションを、6月限・行使価格15ドルのプットオプションに切り替え
  • SOXX(iShares半導体ETF): ショートポジションを、2027年9月限・400ドル台前半のプットオプションに切り替え
  • Palantir(PLTR): ショート+プットのポジションを整理・拡大し、2027年9月限・100ドル台前半に集約

満期が最短で来年6月、最長で2027年9月に設定されており、「AIトレードの巻き戻しは来夏までに起きる」というシナリオを想定したポジションであることが読み取れる。なお、バーリはポジション変更の一部について節税目的であることを認めており、含み損を抱えたショートポジションの損失確定を通じた税務上のメリットを意識した動きも含まれているとしている。ただし大半はAIバブルが「想定より早く弾ける」との判断によるものと説明している。


崩壊シナリオの根拠

バーリは、資産運用大手アレス・マネジメント(Ares Management)の最新リサーチを引用し、AIセクターへの投資が構造的に脆弱だと指摘した。同リサーチは、AI関連の収益が実証されていない段階で大規模な設備投資が先行している現状を問題視している。

「AI収益が設備投資の根拠を裏切る四半期が一つあれば十分だ。そのシナリオでは、最も確信度の高い投資対象が変わったと判断した取締役会が、単純に資本を再配置するだろう。法的文書もその決断を想定した内容になっている」——Ares Managementレポート

また、台湾メディアの取材でAcer CEOのジェイソン・チェン氏が語った内容も根拠として挙げた。チェン氏は、中国のメモリチップ生産能力が継続的に拡大しており、供給不足は実態を伴っていないと指摘。「契約価格は高水準で変動しているが、上下混在しており、絶対的な不足などない」と述べている。バーリはこれをメモリチップ市況の周期的な下落が近いシグナルとして位置付けた。


強気市場との綱引き

バーリが弱気姿勢を続ける一方で、株式市場は上昇を続けてきた。彼は今年5月に「市場は1999〜2000年のバブル末期のように感じる」と発言したが、その後もナスダック総合指数は先週に史上最高値を更新している。

ただし個別銘柄では、MicronはATH(史上最高値)から16%下落、Palantirも約10%下落しており、指数ほどの強さは出ていない。バーリはこの温度差にも目を向けているとみられる。

市場全体が強気の中でプットオプションを積み増すバーリの動きは、勝負を急いだとも、確信を深めたとも取れる。今後の決算シーズンでAI関連企業の収益が設備投資規模に見合うかどうかが、一つの試金石になりそうだ。


詳細はMichael Burry believes the AI bubble 'may burst' sooner than he first believedを参照していただきたい。