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Deep Dive

UIデザインの仕事が「画面を作る」から「振る舞いと権限を設計する」に変わりつつある — AIエージェント時代にデザイナーが本当に設計しているもの

10月30日、Dribbbleが「The Interface Is Disappearing: What Designers Actually Design in the Age of AI Agents」と題した記事を公開した。AIエージェントの台頭によってデザイナーの仕事が「画面を作る」から「振る舞い・権限・引き継ぎを設計する」へと根本的に変化しつつある実態について詳しく論じている。

10月30日、Dribbbleが「The Interface Is Disappearing: What Designers Actually Design in the Age of AI Agents」と題した記事を公開した。AIエージェントの台頭によってデザイナーの仕事が「画面を作る」から「振る舞い・権限・引き継ぎを設計する」へと根本的に変化しつつある実態について詳しく論じている。


UIが消えていく——「5画面10クリック」から「3つの瞬間」へ

従来のソフトウェアはスクリーンが中心だった。ユーザーはダッシュボードを開き、メニューを操作し、複数のアプリを行き来して一つのタスクをこなしていた。AIエージェントはその構造を変える。ユーザーが「やりたいこと」を伝えれば、エージェントが複数ツールをまたいでバックグラウンドで処理を進める。

具体例として挙げられているのが週次クライアントレポートの作成だ。従来はアナリティクスツールから数値を引き出し、プロジェクトボードを更新し、サマリーを書いてメール送信——これをすべて人がツールを操作して行っていた。エージェントはこの各ステップを自律的に処理する。人の役割は「ツールを操作すること」から「目標を伝えて結果を確認すること」に移る。

この変化を記事は「intent → action → result」の3ステージとして定式化する。

  • Intent(意図):リクエストが曖昧でも意図を正確に捉えること
  • Action(実行):エージェントが単独で行える操作と、人の承認が必要な操作の境界設計
  • Result(結果):信頼でき、検証でき、修正できる形で提示すること

従来のフローが「5画面・10クリック」を要するとすれば、エージェント体験に必要なのは「プロンプト・確認・結果」の3つの瞬間だけになる。画面は減るが、設計すべき問題は消えない——決断の場が「レイアウト」から「ロジック・言語・タイミング」に移るだけだ。

本記事の著者はUnfoldのファウンダー兼クリエイティブディレクターであるEddie Lobanovskiy。ブランドアイデンティティとUI/UX設計を手がける実務家の視点から書かれた記事だ(※元記事ではXRPロゴのデザイナーとしても紹介されているが、XRPはRipple社が発行する暗号資産であり、本記事の主題とは直接の関係はない)。

デザイナーが今設計しているもの

Unfoldでは実際に、数年前なら単体アプリの画面として設計していたものが、エージェント・コネクター・スキル・プラグイン・ワークフローの設計に変わってきているという。「画面に表示されない成果物」が増えている。

具体的に設計するのは以下だ。

  • リクエストが曖昧なときにエージェントがどう振る舞うか
  • どのアクションを自律実行してよく、どれには承認が必要か
  • エージェント・ツール・人の間のハンドオフ(引き継ぎ)とタスクの状態遷移
  • エージェントの応答を形づくるインストラクション(指示文)

「磨かれたUIがあっても、エージェントの振る舞いが予測不能なら意味がない」とEddie氏は明言する。

確認UIの設計が核心になる

記事が特に力を入れて論じているのが確認(Confirmation)と透明性(Transparency)の設計だ。

エージェントがメッセージを送ったり、データを変更したり、課金処理を行ったりする前に、ユーザーは「何が起きるか」を事前に理解する必要がある。

良い確認UIの要件として挙げられるのは、アクション・対象・結果を平易な言葉で示すことだ。「この提案書を3名のクライアント担当者に送信する」という表現は承認内容を明確にする。一方で「続行しますか?」だけではユーザーは何も判断できない。

実行後の透明性も同様に重要だ。エージェントが何をしたか、どのツールを使ったか、取り消す方法は何か——アクションの重大度が上がるほど、これらの可視性を高める必要がある。

※編集部の考察:AIエージェントUIの設計課題は業界全体で急速に注目されており、Googleが企業向けに展開するAgentspaceや、MicrosoftのCopilot Studioなど、エージェントと既存ワークフローを橋渡しするプロダクトが相次いで登場している。こうした実プロダクトの設計判断と本記事の論点を照らし合わせると、確認UIと透明性の重要性はより具体的に理解できる。

アプリはインフラになり、エージェントがインターフェースになる

CRMや分析ツールはなくならない。変わるのは「どうアクセスするか」だ。エージェントがユーザーと直接やり取りするレイヤーになり、既存アプリはその下のインフラとして機能する。

これはプロダクトチームに新しい問いを突きつける。「ユーザーが直接製品を開かなくなったとき、ブランドはどこに宿るのか」「あるエージェントが一方のツールからデータを取り出し、別のツールに書き込むとき、何が起きているのかユーザーはわかるか」——これらはエンジニアリングの問いであると同時に、設計の問いでもある。

ビジュアルUIが残る場所

インターフェースが完全に消えるわけではない。会話型UIとビジュアルUIが共存する場面として記事が挙げるのは、結果の確認・選択肢の比較・編集・承認・モニタリングだ。何かを素早く依頼するには会話が速い。返ってきた結果を判断するには表やグラフのほうが速いことが多い。この切り替えのタイミング自体が設計判断になる。

デザイナーはシステムアーキテクトになる

Eddie氏は「デザイナーはシステムアーキテクトとして働き始めている」と表現する。個別ページより、ユーザー・エージェント・ツール・データ・アクションがどう連携するかを考える割合が増えているからだ。

この仕事はエンジニアリングと隣接する。記事では「プロダクトデザイナーとAI開発者が一緒に取り組むのが最善」と述べており、デザイナーが担うのは「人が何を期待するか、何を見る必要があるか、どこで制御が必要か」というシステムの人間側の設計だとしている。

AIがUIを自動生成できるようになると、「何を作るべきか、何を消すべきか、体験全体がどう振る舞うべきか」を決める判断の価値が高まる——これはEddie氏が記事で述べている見解だ。長年「より良いインターフェースを作ること」を目指してきたプロダクトデザインは今、「そもそもインターフェースが必要かどうかを判断すること」も仕事の一部になりつつある、というのが記事の結論である。


詳細はThe Interface Is Disappearing: What Designers Actually Design in the Age of AI Agentsを参照していただきたい。