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Deep Dive

MetaはAIで広告成長率26%を叩き出し、GoogleはAIで自分の検索を食っている — 両社が「同じAI投資」で正反対の結果になった構造的理由

11月1日、CNBCが「Why AI is boosting Meta's ad business while hurting Google search」と題した記事を公開した。AIがMetaの広告事業を押し上げる一方でGoogle検索の収益成長を鈍化させており、両社の立ち位置が対照的に変化しつつある構図について詳しく報じている。数字だけ見れば「どちらもAIに投資している」同士だが、AIの使われ方とビジネスモデルの構造的な違いが、正反対の結果を生んでいる。

11月1日、CNBCが「Why AI is boosting Meta's ad business while hurting Google search」と題した記事を公開した。AIがMetaの広告事業を押し上げる一方でGoogle検索の収益成長を鈍化させており、両社の立ち位置が対照的に変化しつつある構図について詳しく報じている。数字だけ見れば「どちらもAIに投資している」同士だが、AIの使われ方とビジネスモデルの構造的な違いが、正反対の結果を生んでいる。


広告収益の成長率に14ポイントの差

第3四半期の決算データが、両社の立ち位置の変化を端的に示している。

Metaの広告収益は前年同期比26%増の631億ドルに達した。一方、Googleの検索部門は12%増の634億ドルにとどまった。金額はほぼ拮抗しているにもかかわらず、成長率の差は14ポイント。これはデジタル広告市場におけるMeta対Googleの成長率比較として、2021年以来最大の開きだ。

GoogleはYouTubeで別途約110億ドルの収益を得ているが、Alphabetは第3四半期の決算発表後に株価が12%超下落し、時価総額が約5,000億ドル失われた。Metaも10月に14%下落(2022年10月以来最悪の月)しており、両社ともAIインフラへの巨額投資がフリーキャッシュフローをマイナスに押し込んでいる現状に、市場が神経質になっていることがわかる。


MetaのAI活用:Apple問題への対応が起点

MetaがAIを広告事業に組み込んだ背景には、明確な危機がある。2021年にAppleがiOSのプライバシーポリシーを変更し、iPhone上でのユーザーターゲティングが大幅に制限された。Metaはその翌年、創業以来初めて売上が前年割れするという事態に直面した。

その後、同社はAIを広告プロダクトへ積極的に組み込んできた。1年前にはMeta AI ビジネスアシスタントを発表。広告主がAds Managerシステムに組み込んで使えるこのツールは、キャンペーン構築や効果改善を支援する。

CFOのSusan Liは直近の決算説明会で、このシステムの推奨設定を採用した広告主は「コンバージョンが約5%増加し、採用しない類似広告主と比較して広告投資を9%増やした」と述べた。具体例として、シロップメーカーのSimply Organic Mapleが購入数を57%増やし、コンバージョン単価を36%削減したケースを挙げた。第3四半期には、約1,000万の広告主がAIツールを少なくとも1つ使用したという。


GoogleはAIで検索を自分で侵食している

GoogleのジレンマはMetaとは構造的に異なる。同社はAI Overviews(検索結果ページ上部にAIが生成した要約を表示する機能)やAI Modeといった機能を通じて検索体験をAI化しているが、これは皮肉にもユーザーが他サイトへのリンクをクリックする機会を減らす。広告収益の大部分は「リンクのクリック」に依存しているため、自社のAI強化が自社広告を食いかねない。いわゆるカニバリゼーション(自社製品・サービスが自社の別事業を侵食する現象)が、Googleの場合はAI化によって構造的に引き起こされている。

検索クエリ数自体は四半期として過去最高を記録したとGoogleは主張しているが、収益成長は鈍化している。

加えて、ChatGPT、AnthropicのClaude、そしてMetaが提供するMuseアシスタント(MetaのAIプラットフォーム上で展開される対話型情報発見ツール。Meta AIの一機能として位置づけられている)が、ユーザーの検索行動そのものを変えつつある。Emarketerのアナリスト、Nate Elliottは次のように述べた。

「AIが情報発見の形を変えるにつれ、Googleより使いやすいと感じるツールにユーザーが乗り換える可能性がある。ChatGPTやClaudeやMuseの方が探し物を見つけやすいと感じれば、一世代ぶりに検索習慣が変わるかもしれない。それはGoogleの広告事業にとって壊滅的になりうる」

UBSのアナリストも決算後のレポートで「検索のカニバリゼーションへの懸念が再び前面に出てくるだろう。MetaのAI広告の強さと、Muse/AIエージェントの脅威がそれを悪化させている」と指摘した。


収益構造の違いがリスクの非対称性を生む

両社の収益構成の差も重要だ。Googleの広告依存度はすでに全体の3分の2以下に低下しており、クラウド部門(Google Cloud)が四半期で310億ドル、前年比100%超の成長を記録している。AI向けカスタムチップ「TPU(テンソル処理ユニット:Google独自開発のAI演算特化チップ)」への需要が牽引している。

一方、MetaはいまだRevenue(広告収益)の98%を広告に依存している。AIモデルやエージェントへの投資を続けながら、月額7.99ドルからのAIサブスクリプションサービスのテストも進めているが、広告以外の柱はまだ形になっていない。

Wedbushのアナリストは「Googleの株価は、検索をめぐるナラティブが変わるまで上昇しにくい。AIが普及した時代に広告を収益化できる証拠が必要だ」と述べている。

両社ともAIインフラへの投資は継続する方針で、Googleは今年の設備投資を最大2,050億ドル、Metaは最大1,450億ドルと見込んでいる(※この数字は元記事が引用する通期の設備投資見通し上限値であり、単純な年間支出額とは異なる場合がある)。


つまり、両社は「同じAI投資」をしているようでまったく異なる構造的文脈に置かれている。MetaのAIは既存の広告エンジンを強化するツールとして機能し、Googleのそれは既存の収益モデルそのものに摩擦をもたらしている。同じ土俵ではなく、そもそも地盤の異なる場所に立っている両社の決算が、それを如実に示している。

詳細はWhy AI is boosting Meta's ad business while hurting Google searchを参照していただきたい。