11月3日、Inside AI News が「DRAM Prices Double in 2026 as AI Data Centers Squeeze PC Makers」と題した記事を公開した。AIデータセンター向けメモリ需要の急増により2026年にDRAM価格が約2倍に高騰しているとされ、PC業界が深刻なコスト圧力にさらされている実態を伝えている。行き場を失ったPCメーカーが取りうる選択肢はどれも厳しく、業界の構造変化が加速しつつあるという。なお、Inside AI News自身が「正確な価格数値は独自に検証できていない」と注釈しており、以下の内容は同記事の報告に基づく。
報告によれば、DRAM価格が1年足らずで2倍に
2026年を通じて、DRAM(Dynamic Random Access Memory)の市場価格が昨年末比でほぼ2倍に達したと報告されている。主因はAIデータセンター向けへのメモリ供給シフトだ。半導体メーカー各社は生産ラインをAI向けのHBM(High Bandwidth Memory:高帯域幅メモリ。GPUやAIアクセラレータとの間で超高速・大容量のデータ転送を実現するために設計された次世代メモリ規格)やその他高性能DRAMに転換しており、PCやノートパソコン向けの標準的な**DDR5メモリ(現行世代のPC向けDRAM規格。DDR4の後継で、帯域幅と電力効率が向上している)**などは供給不足に陥っている。
記事によれば、この価格上昇は一時的な需給の乱れではなく、製造能力(ファブキャパシティ、fab capacity:半導体製造工場が持つ生産処理能力の総量)の意図的な再配分によるものだ。AIアクセラレータ(GPUやカスタムシリコン)向けメモリは高い利益率と長期契約が見込めるのに対し、PC向けメモリは低マージン・高ボリュームのコモディティビジネスであり、メーカーにとって魅力が薄れている。
「今回の高騰は2017〜2018年とは構造的に違う」
DRAMはもともと景気サイクルと連動しやすい産業で、PCやスマートフォン需要に引きずられる形で価格が乱高下してきた。2017〜2018年のDRAM価格高騰もその一例だが、当時の主因はスマートフォン需要の拡大と供給制約であり、需要側の構造自体が変わったわけではなかった。
今回は異なる。記事中の業界アナリストは匿名を条件にこう述べている。
「メモリ市場はAI需要によって作り替えられつつある。PCメーカーはその変化の割を食う側に立っている。この能力の構造的再配分は、簡単には逆転しない」
AI向け需要を牽引しているのは、資金力のあるクラウドプロバイダーだ。需要の成長速度も従来のPC・スマートフォンサイクルとは比較にならない。メモリメーカーが増産投資を進めていても、新工場が稼働するまでには数年を要する。近い将来、この需給アンバランスが解消される見込みは薄い。
PCメーカーの選択肢はどれも厳しい
コスト上昇に直面するPCメーカーが取りうる対応は、大きく3つだ。
- コストを自社で吸収する(利益率をさらに圧迫)
- 価格を消費者に転嫁する(既に価格に敏感なユーザーが離れるリスク)
- メモリ搭載量を減らす(製品競争力の低下)
いずれも魅力的な選択肢ではない。記事は、一部メーカーが新製品の発売を遅らせたり、マージンを確保しやすいプレミアム製品に集中する可能性を指摘する。また、消費者が中古・リファービッシュ端末に流れたり、メモリを大量に消費するアプリケーションのPC普及が鈍化する可能性にも言及している。
波及範囲はPCにとどまらない
メモリはスマートフォンからサーバーまで、あらゆるコンピューティング機器の基盤部品だ。DRAM価格が高止まりすれば、AIアプリケーション自体の運用コストも上昇し、計算全般のコスト構造が変わりうる。PC市場ではメーカーの統廃合が進む可能性もある。
繰り返しになるが、Inside AI Newsは記事内で「正確な価格数値は独自に検証できていない」と注釈しつつも、2026年を通じたメモリ逼迫に関する複数の報告と整合的な内容だとしている。タイトルや見出しで用いた「2倍」という数値はあくまで同記事の報告値であり、独立した検証が伴うものではない点は留意が必要だ。
詳細はDRAM Prices Double in 2026 as AI Data Centers Squeeze PC Makersを参照していただきたい。




