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Anthropic

ClaudeがゲームクローンをAIレベルで禁止 — 著作権侵害をモデルで規制する新アプローチと、個人利用まで巻き込む誤検知の課題

11月2日、Eurogamerが「As the controversy around AI-created video game copies continues, Anthropic seemingly restricts Claude's cloning abilities」と題した記事を公開した。AIによるゲームクローン生成が著作権侵害の温床として問題視される中、AnthropicはAIモデルそのものの振る舞いをポリシーで縛るという異例のアプローチを取った。著作権侵害への対処を「法的手段」ではなく「モデルの制御」で行うこの方針は、生成AI業界全体に波及しうる判断として注目されている。

11月2日、Eurogamerが「As the controversy around AI-created video game copies continues, Anthropic seemingly restricts Claude's cloning abilities」と題した記事を公開した。AIによるゲームクローン生成が著作権侵害の温床として問題視される中、AnthropicはAIモデルそのものの振る舞いをポリシーで縛るという異例のアプローチを取った。著作権侵害への対処を「法的手段」ではなく「モデルの制御」で行うこの方針は、生成AI業界全体に波及しうる判断として注目されている。


Claudeが「ゲームクローン禁止」に

10月27日頃、AnthropicはClaudeの利用規則を更新した。新たに追加されたルールは以下の2点だ。

  • 「Do」: オリジナルのゲーム、特定ジャンルのゲーム、ユーザー自身のデザインやアセットを使ったゲームを作ること
  • 「Don't」: 名前を変えたり「オリジナル」と称したりしても、既存の特定ゲームを再現すること

この変更をいち早くXに投稿したのはユーザーChasmで、新ルールのスクリーンショットを共有した。GoogleのエンジニアリングマネージャーとしてAI開発にも深く関わるAddy Osmaniがそのポスト下にコメントし、変更の正当性を認めた上で「ClaudeをIPの侵害に使うことは利用規約に反する」と説明している。オリジナルゲームや自前アセットを使った制作は引き続き可能だとも述べている。

現時点でAnthropicからの公式声明はない。


副作用:ボードゲームの個人利用もブロックされる

ポリシー変更に対して、GitHubのClaude-codeリポジトリには早速ユーザーからの報告が集まっている。

(※上記GitHubリンクは元記事に記載されていた情報をもとに掲載している)

商業的な侵害を防ぐ意図で導入されたルールが、個人の非商用利用まで巻き込んでいる形だ。「既存IPの再現」と「ジャンルの踏襲」の間には本来グラデーションがある。たとえば、テトリスに似た落下ブロックパズルや、ローグライクのダンジョン生成ロジックは数十年にわたって多くの開発者が合法的に実装してきた。今回の誤検知は、モデルがその線引きを文脈ではなくキーワードや表面的な類似性で判断している可能性を示唆しており、判定の粒度をどう精緻化するかが今後の焦点になる。


背景:AIゲームクローンが問題視されていた理由

この動きの背景には、直近でAI生成ゲームクローンが相次いで問題になっていたことがある。

  • RuneScapeのAI生成クローンがゲームコミュニティの強い反発を受け、削除された
  • 自作デモが盗用されることを恐れた開発者が、公開デモを引き下げる事例も発生
  • Mario Kart 8のブラウザプレイ可能なクローンがRedditに投稿され、数日以内(おそらくNintendoからの法的通知を受けて)に削除された

インディーゲーム開発者にとって、こうしたクローン生成は単なる著作権問題にとどまらない。数年をかけて作り上げたゲームデザインが数時間で模倣・公開される状況は、開発意欲そのものを損なうという声も上がっていた。こうした事例が積み重なった結果、Anthropicはポリシーで明示的に対処する判断を下した。


「Claude以外はどうなのか」という問題

Eurogamerも指摘しているが、ClaudeがブロックされてもDeepSeekなど他のAIツールには同様の制限がない。ユーザーが制限の緩い別ツールに流れるだけであれば、業界全体の問題は解決しない。

とはいえ、この問題を「業界横断の統一規制が整うまで各社は動くべきでない」と捉えるのも現実的ではない。Claudeは主要な商用AIツールの一つであり、利用シェアを踏まえれば今回の変更だけでも一定の抑止効果は期待できる。むしろ今回のAnthropicの動きが先例となり、OpenAIやGoogleといった他の大手プロバイダーが同様のポリシーを追随するかどうかが、業界全体の方向性を左右する分岐点になりうる。


「著作権侵害を使い方の問題としてモデルレベルで規制する」という方向性は新しい。従来の対処が「違反コンテンツの事後削除」や「法的通知への対応」にとどまっていたのに対し、生成そのものをモデルが拒否するというアプローチは、AIガバナンスの観点からも注目に値する。一方で、今回の誤検知報告が示すように、「どこまでが既存IPの再現でどこからがジャンルの踏襲か」という線引きはモデルにとっても人間にとっても自明ではない。ポリシーの精度をいかに上げるかが、今後の運用における最大の課題となるだろう。

詳細はAs the controversy around AI-created video game copies continues, Anthropic seemingly restricts Claude's cloning abilitiesを参照していただきたい。