11月3日、International Business Times SGが「Who is Dan Driscoll? From Pentagon to OpenAI as AI Becomes a National Security Weapon」と題した記事を公開した。この記事では、元米陸軍長官のDan DriscollがOpenAIに入社し、国家安全保障分野でのAI活用を推進する新ポジションに就いたことを詳しく紹介している。
元陸軍長官がOpenAIへ
OpenAIは、米陸軍長官を務めたDan Driscollを「Senior Counselor for National Security Modernization(国家安全保障近代化担当上級顧問)」として採用した。同社にとって新設のポジションであり、AI技術を通じた米国の国家安全保障・サイバーセキュリティ・軍事近代化の強化を担う。
Driscollの経歴は幅広い。陸軍長官として約100万人の現役・州兵・予備役兵士と26万5000人以上の陸軍文民を統括。2009年のイラク従軍経験を持つ退役軍人でもあり、陸軍武功勲章(Army Commendation Medal)と戦闘行動バッジ(Combat Action Badge)を受章している。在任中はドローン・対ドローン技術の同盟国への普及加速や、装備調達改革など軍の変革を主導した。
ペンタゴン退任の経緯も注目される。Driscollは今年、国防長官Pete Hegsethとの数ヶ月にわたる対立が報じられた末に辞任している。さらに異例の外交任務として、ウクライナ・ロシア停戦交渉にも参加。2025年11月にはキーウでゼレンスキー大統領と会談し、米国提案の和平計画について協議した。軍・外交・政府行政にまたがるキャリアは、AIの安全保障応用という文脈でOpenAIが求めていたプロファイルと合致する。
OpenAIが軍出身者を必要とする理由
Driscollの役割は、国家安全保障の現場ニーズを実用的なAI活用に落とし込むことだ。OpenAIによれば、彼は「現場の運用要件」「制度的変化」「AIの新興能力」が交差するポイントを特定する役割を担う。
Driscoll自身は就任にあたり次のように述べている。
「国家安全保障の要件は、過去50年間のいかなる時期よりも速く変化している。このテクノロジーは、書類仕事を減らし、より多くの情報を整理し、正しい答えを正しい人物に迅速に届けることで、彼らの追跡を助けるだろう」
「私はOpenAIに加わり、米国とその同盟国がこのテクノロジーを、私たちを守る人々のために責任ある形で活用できるよう支援したい」
OpenAI CEOのSam Altmanも声明を出している。
「米国は他国とともに『民主主義的AI』の普及を広める絶好の機会を持っている。Dan Driscollの加入は米国のリーダーシップを強化し、その実現を助けてくれるだろう」
ここで言う「democratic AI(民主主義的AI)」とは、権威主義的な政府による管理・監視ではなく、民主主義国家の価値観に基づいてAIを開発・展開するという概念だ。OpenAIはこの枠組みのもと、米国および同盟国へのAI普及を安全保障戦略の一環と位置づけている。
Driscollはまた、OpenAIのシニアリーダーシップへの助言に加え、政府当局者・産業界・学術機関・同盟国組織との連携も担う。同社がすでに進めているサイバー防衛支援プログラム「Daybreak」の活動とも連動する形になる。DaybreakはOpenAIが国家安全保障機関や同盟国のサイバー防衛能力強化を目的として展開しているプログラムであり、AIを用いた脅威検知・対応支援を軸に据えている。Driscollが持つペンタゴン内部の知見と人脈は、同プログラムの実装・拡張において直接的な価値を持つと見られる。
民間AI企業と安全保障の距離が縮まる
今回の人事は、AIと国家安全保障の融合が加速するなかでの象徴的な動きだ。OpenAIはこれまでも国防総省との連携が取り沙汰されてきたが、元陸軍長官という重量級の人材を直接採用したのは初めてである。ペンタゴンの内部事情と軍の運用要件を知る人物を迎えることで、OpenAIは安全保障機関への実装レベルでの関与を本格化させる構えだ。
詳細はWho is Dan Driscoll? From Pentagon to OpenAI as AI Becomes a National Security Weaponを参照していただきたい。




