11月5日、The Decoderが「After midterm rout, OpenAI tries to win over communities it needs for AI expansion」と題した記事を公開した。米中間選挙でデータセンター反対票が相次いだことを受け、OpenAIが地域コミュニティへの自主的コミットメントを発表した動きについて詳しく紹介されている。
41地区中40地区がデータセンターを拒否
2026年の米中間選挙は、AI業界にとって厳しい審判となった。地方の住民投票では、41件中40件でデータセンターの新設が否決された。民主党は連邦議会だけでなく、AIインフラの主要州であるテキサス、ジョージア、オハイオの知事選でも勝利を収めた。
テキサス州の新知事ジーナ・イノホサは早速、新規施設への即時モラトリアム(一時停止措置)を求めた。調査機関Data Center Watchによれば、2026年第2四半期時点ですでに総額880億ドル相当の45プロジェクトが地域住民の反対で停滞している。
ウォール街の反応も割れた。データセンターの建設・運営を専業とする独立系企業であるHut 8(-23%)、IREN(-11%)、Core Scientific(-10%)が急落した一方、Microsoft(+6.7%)、Amazon(+6.1%)、Alphabet(+3.2%)は上昇した。大手テック企業はすでに大規模なデータセンターを保有しており、新規建設の鈍化が競合への優位性につながるとの見方が市場に広がったためだ。
OpenAIが「コミュニティ憲章」を発表
選挙から2日後、OpenAIはNational Community CompactとPolicy Blueprintを公表した。自社が所有・運営する将来の施設に対する自主的なコミットメントをまとめたもので、同時に業界全体への法的拘束力を持つルール化を立法府に求めている。
具体的な約束の内容は以下の通りだ。
- 地方当局との交渉中、秘密保持契約(NDA)の締結を原則廃止
- 電力コストおよびグリッド(送電網)増強費用の全額負担
- ピーク時間帯の消費電力抑制
- 建設計画、騒音調査、水使用量データの開示
ポリシー責任者のクリス・リーヘインはロイターに対し、「施設はブラックボックスにはならない」と語り、定期的なハードウェア更新が継続的な雇用を生むと強調。オハイオ州では2,500人の雇用創出を約束した。ジョージア州では地元向けに給食費として480万ドルの支払いを実績として挙げているが、同州での計画プロジェクト費用が300億ドル超であることを踏まえると、その規模感には大きな乖離がある。
また、自主的コミットメントの対象は「OpenAIが自ら所有・運営するサイト」に限定されており、OracleなどのパートナーがOpenAIのために建設・保有する施設は対象外だ。この適用範囲の限定は、コミットメントの実効性に疑問を残す。
マスクの4億4,600万ドルの賭けも裏目に
今回の選挙での敗者として目立つのがイーロン・マスクだ。Politicoによれば、マスクは共和党候補に過去最高となる4億4,600万ドルを投じ、うち2億ドル超をテキサス州に集中させた。しかし支援した候補のほぼ全員が落選した。
これにより、マスクが「第二の故郷」と位置づけるテキサスでの自社データセンター拡張計画も不透明になった。SpaceX株は3.9%、Tesla株は3.3%下落した。マスクは自身のプラットフォームXに「宇宙のデータセンターが魅力的に見えてきた」と投稿し、敗北への反応を示した。
AIインフラ拡張と地域政治の衝突
OpenAIの今回の動きは、AI拡張戦略が純粋に技術・ビジネスの問題ではなく、地域政治と民意という現実に直面していることを示している。自主的なコミットメントがどこまで住民の信頼を取り戻せるか、そして業界全体への規制にどう波及するかは今後の焦点となる。
詳細はAfter midterm rout, OpenAI tries to win over communities it needs for AI expansionを参照していただきたい。




