6月23日、Robin Johnが「I added one line to my Claude prompts and stopped getting generic answers」と題した記事を公開した。Claudeのプロンプトに一文を追加するだけで、AIが回答前に必要な情報を自ら質問するようになり、出力の質が大きく向上するというテクニックを詳しく紹介している。
Before/After:たった一文で何が変わるか
まず変化のインパクトを具体的に示す。「narratology(物語論)についてのPPTを作って」というプロンプトを投げた場合、追加前のClaudeはスライド枚数・対象読者・フォーカスポイントを勝手に仮定し、汎用的なスライドを生成する。追加後は、回答の前に「対象読者は誰ですか?」「スライドは何枚が適切ですか?」「特に強調したいテーマはありますか?」といった質問が返ってくる。
ユーザーがそれに答えてから初めて生成が始まるため、出力は最初から目的に合ったものになる。手戻りが減り、プロンプトを書き直す手間も省ける。
問題の本質:AIは常に「仮定」から回答している
ChatGPTやGeminiと比較してもClaudeを使い続けているRobin Johnが気づいたのは、「回答が悪いのではなく、なんとなく物足りない」という感覚だ。
問題はClaudeの能力ではなく、プロンプトが曖昧であることにある。自分でも気づいていない不足情報は、どれだけ丁寧にプロンプトを書いても最初から含められない。AIは空白を埋めるために「平均的なユーザーが満足する回答」を選ぶ——これが汎用的な出力の正体だ。
解決策:「答える前に質問しろ」と指示する
Robin Johnが行き着いたのが、以下の指示ブロックをプロンプトの冒頭に追加するという方法だ:
Ask questions whenever in doubt instead of providing formulaic responses. Do it when you think the go-to response is vague, and you could use some clarification to create a better response. Always use interactive (clickable) interface for questions instead of numbering them.
要約すると「定型的な回答をする代わりに、曖昧なときは質問せよ。質問は番号リストではなくクリック可能なインタラクティブ形式で」という指示だ。
PPT生成の例では対象読者・スコープ・スライド枚数についてClaudeが先に質問してくる。学習支援の場面でも「あなたの出発点はどこか」「目的は何か」を確認してから説明を始めるようになる。さらに、ユーザー自身が気づいていなかった観点について質問されるケースもあり、これがとりわけ有用だとRobin Johnは述べている。
カスタム指示に登録して「毎回書かなくて済む」状態にする
このフレーズを毎回プロンプトの頭に書くのは手間だ。Robin Johnはこの問題をClaudeのカスタム指示(Custom Instructions)機能で解決した。Claudeの設定画面を開き、上記のテキストを貼り付けるだけで、すべてのチャットでこの動作がデフォルトになる。
特定の用途にだけ適用したい場合は、Claude Projectのプロジェクト指示として設定する方法もある。プロジェクト内のチャットにのみ適用されるため、コード生成・資料作成・学習サポートといった用途ごとに使い分けが可能だ。
他のLLMへの応用可能性
※編集部の考察
同様の「質問先行型」指示は、ClaudeのカスタムシステムプロンプトだけでなくChatGPTのカスタム指示やGeminiのシステムインストラクションにも適用できる。いずれのモデルもシステムプロンプト・カスタム指示の仕組みを持っており、「回答前に質問せよ」という指示を受け付ける設計になっているためだ。ただしインタラクティブな質問UIの表現形式はモデルや実装環境によって異なるため、「クリック可能な形式で」という部分は適宜書き換えるとよい。
また、プロンプトエンジニアリングの観点では、本手法はChain-of-Thought(CoT)プロンプティングやFew-shotプロンプティングとも組み合わせやすい。CoTが「思考過程を明示させる」手法であるのに対し、本手法は「思考に必要な情報をユーザーから引き出させる」という前段階の問題を解決する。両者は補完関係にある。
注意点:すべての場面で有効ではない
この手法には副作用もある。事実の確認や単純な調べ物をするときに、毎回「質問フェーズ」が挟まるのは煩わしい。「具体的な成果物が必要な場面」と「事実確認で十分な場面」では使い勝手が変わる。
Robin Johnはカスタム指示に「デリミタ(例外条件)」を追加して対処している。「簡単な質問のときはスキップせよ」といった条件を一緒に記述しておくことを推奨している。
実装コストはほぼゼロで、設定は数分で完了する。コードや資料作成など、出力品質が結果を左右するタスクほど効果が出やすい手法だ。
詳細はI added one line to my Claude prompts and stopped getting generic answersを参照していただきたい。




