9月2日、Techstrong AIが「Anthropic Inks $35 Billion Lambda Cloud Deal Backed by NVIDIA」と題した記事を公開した。AnthropicがNVIDIA出資のクラウドプロバイダーLambdaと総額350億ドルのコンピューティング契約を締結した内容を伝えている。
NVIDIAがAnthropicとLambdaの間に立つ構図
この契約の核心は金額だけではない。NVIDIAがテキサス州のデータセンターのリースを保持するという報道が、業界関係者の注目を集めている。
契約の構造を整理すると以下のようになる。
- Anthropic:AIモデルの開発・運用に必要な計算リソースを確保するためLambdaからキャパシティを調達
- Lambda:GPU特化型クラウドプロバイダー。NVIDIA出資を受けており、テキサス州ニューセス郡のデータセンターからAnthropicにキャパシティを提供
- Hut 8:かつて仮想通貨マイニングを主業としていたデータセンター事業者。当該データセンター(容量約350メガワット)を開発
- NVIDIA:Lambdaへの出資者であり、データセンターのリースも保持するとされる
調査会社The Futurum GroupのVP兼プラクティスリード、Mitch Ashley氏はこの構図を端的に指摘している。
「今月だけでAnthropicはNVIDIA出資の2社目のプロバイダーにコミットしたことになる。これはチップサプライヤーがモデルベンダーと計算キャパシティの間に挟まる形だ。プラットフォームチームがフロンティアモデルを標準採用すれば、価格を検討したかどうかに関わらずその構造を引き継ぐことになる。ベンダーのキャパシティがどこと契約されているか、サイトを誰が所有しているか、資金調達やビジネス状況が悪化した場合のロードマップが何かを問うことが重要だ」
エンジニアリングチームがAnthropicのAPIやClaude Code(AnthropicのAIコーディングアシスタント)を採用する際、その裏側のインフラ調達チェーンにNVIDIAが深く関与しているという事実は、ベンダーリスクの観点から把握しておくべき情報だ。
Anthropicの直近1週間だけで800億ドル超の調達
今回の350億ドル契約は、Anthropicの一連の大型インフラ調達の一部に過ぎない。
つい先週、Anthropicはウェストバージニア州のデータセンターキャンパスでNscaleからAI計算キャパシティを調達する450億ドルの契約に合意したばかりだ。Nscaleはノルウェーを拠点とするGPU特化型クラウドインフラプロバイダーで、欧州を中心にデータセンターを展開している。1週間足らずで合計800億ドル超のコミットメントを積み上げた計算になる。
これだけの規模の先行投資が必要な理由は、AIモデルの開発とClaude Codeのような製品の運用に大量のGPU処理能力が不可欠なためだ。最先端AIモデルのトレーニングは一度のランだけでも数千万ドル規模の計算コストを要する場合があり、推論コストもユーザー数に比例してスケールする。計算資源の確保は、競合他社と同水準のサービスを提供するための前提条件になりつつある。
Lambdaの存在感が急拡大
Lambdaは2024年11月に15億ドル超の資金調達を完了しており、現在は最大30億ドルの新たな資金調達ラウンドを検討中とされる(バリュエーションは120億ドル以上が見込まれる)。
昨年にはMicrosoftとの間で数万基のNVIDIAプロセッサを使ったAIインフラ展開の契約も締結している。Anthropicが加わったことで、LambdaはGPUベースのAIインフラ拡張における主要プレイヤーとしての地位を固めつつある。
NVIDIAの戦略:チップ販売を超えたインフラへの関与
NVIDIAにとって、LambdaやHut 8のような企業への出資・リース参加は、GPUの直接販売とは別の収益・影響力確保の手段だ。クラウドプロバイダーやデータセンター事業者がGPUキャパシティを増設できるよう資金面でも支援することで、NVIDIAはAIインフラの構築においてチップ供給者以上の役割を担っている。
なお、Hut 8も同様の転換を進めている。同社は7月に、ビーコンポイントキャンパスでの15年間・98億ドルの新たなリース契約を発表(テナントは非公開だったが、後にNVIDIAと報じられた)。2件のリースを合わせた契約総額は196億ドルに達する。
詳細はAnthropic Inks $35 Billion Lambda Cloud Deal Backed by NVIDIAを参照していただきたい。




