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GoogleのAI気象モデル「WeatherNext 3」、解像度5倍・降水精度60%改善でGoogle検索やMapsに統合

9月3日、Googleが「Introducing WeatherNext 3, our most advanced and accurate global weather AI model」と題した記事を公開した。Google DeepMindとGoogle Researchが共同開発した次世代気象AIモデル「WeatherNext 3」の技術詳細と展開状況が紹介されている。

9月3日、Googleが「Introducing WeatherNext 3, our most advanced and accurate global weather AI model」と題した記事を公開した。Google DeepMindとGoogle Researchが共同開発した次世代気象AIモデル「WeatherNext 3」の技術詳細と展開状況が紹介されている。

WeatherNext 3の最大の特徴は、従来の数値気象予報(NWP)モデルの出力に依存せず、静止衛星のリアルタイムデータを直接学習に用いるアーキテクチャへの刷新だ。NWPはスーパーコンピュータ上の物理シミュレーションであるため最大6時間の遅延が生じ、降水量や地表温度といった急変する変数の予測精度を下げる原因となっていた。WeatherNext 3は地球全体をカバーする静止衛星モザイクを1時間ごとに取り込み、毎時更新の予報を実現した。Google Searchをはじめとする主要サービスへの統合も9月3日より開始されており、一般ユーザーが目にする天気予報の精度に直結する刷新となる。

AI気象モデル競争の中で生まれた「WeatherNext 3」

AIによる気象予報はここ数年で急速に進展している分野だ。DeepMindのGraphCast(2023年)、MicrosoftのClimaX、NVIDIAのFourCastNetなどが相次いで登場し、従来の数値気象予報との比較研究が盛んに行われてきた。Googleも前世代モデル「WeatherNext 2」を展開していたが、WeatherNext 2は25キロメートルグリッド・6時間間隔という解像度・更新頻度に留まっていた。WeatherNext 3はアーキテクチャ設計から刷新した次世代モデルという位置づけだ。

解像度が前世代比で約5倍に向上

WeatherNext 3の技術的なハイライトの一つが、解像度の大幅な向上だ。

  • 気温・湿度などの地表変数:5キロメートル解像度
  • その他の地表変数:10キロメートル解像度
  • 風速などの大気変数:25キロメートル解像度

前世代のWeatherNext 2が25キロメートルグリッド・6時間間隔だったことを踏まえると、解像度は全体として約5倍、更新頻度も6時間ごとから毎時へと大幅に改善された。

さらに、WeatherNext 3は疎な気象観測ステーションのデータを直接学習することで、海岸線・渓谷・山岳地帯といった地形的に複雑な地域の局所変動にも対応している。従来の地域モデルの運用に膨大な計算コストがかかっていたラテンアメリカ・アフリカ・アジア太平洋地域でも、高精度な局所予報が実現可能になったとしている。

降水予報の精度が「最大60%改善」

気象モデルが最も苦手とするのが降水予報だ。雨や雪は微細なスケールの雲プロセスに支配されており、物理シミュレーションでは境界が曖昧になりやすい。

WeatherNext 3はこの問題に対し、以下の2つの高品質データソースで学習している。

  • NASA IMERG(衛星ベースの統合降水量データ)
  • Googleが独自に作成した衛星レーダーベースの降水リアナリシス

評価結果として、中期予報(数日先)において以下の改善が示された。

  • IMERGに対するCRPS(連続ランク確率スコア。確率予報の精度指標で、値が低いほど精度が高い):最大60%改善
  • MRMS(高解像度降水解析)に対して:30%改善
  • 雨量計観測データに対して:早期リードタイムで10%改善

1日以上先の降水予報では最大50%の精度向上が見込まれており、従来から精度が低かった地域での改善が特に大きいとしている。

システムアーキテクチャ:FGNメッシュトランスフォーマー

WeatherNext 3のコアは「Functional Generative Network(FGN)メッシュトランスフォーマー」と呼ばれる単一の柔軟なモデルだ。トランスフォーマーベースのアーキテクチャを球面メッシュ上に適用し、1時間ごとの静止衛星モザイクと過去の解析データを同時に入力として受け取る。出力はグリッド状の気象場・台風トラック・観測ステーションレベルの予測を一括して行う設計で、用途ごとに別モデルを用意する必要がない点が特徴だ。

さらに、再生可能エネルギー向けの変数も新たに追加された。タービン高さ相当(地上100メートル)の風速予報高解像度の日射量・雲量予報を出力することで、風力・太陽光発電の出力予測を支援する。

Google Search、Maps、Geminiに統合

WeatherNext 3は9月3日より、以下のGoogleサービスに順次統合される。

開発者・研究者向けには、BigQueryやEarth Engine経由でのクエリ、またはGoogle Cloud Storageからの一括ダウンロードで利用可能だ。精度の独立評価は、気象AIモデルのライブリーダーボードを提供するサービスBrightbandで確認できる。

詳細はIntroducing WeatherNext 3, our most advanced and accurate global weather AI modelを参照していただきたい。