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経営者・CTO向けニュース

MetaがAI利用量による社員評価を廃止 — 「トークンを使いまくれば高評価」が生んだ歪みへの反省

9月3日、Digital Trendsが「Meta is changing how it judges employees after an unusual AI experiment」と題した記事を公開した。「Token Legend」の称号を競い合い、業務と無関係にAIトークンを消費しまくる——そんな珍事が実際に起きたのがMetaの社内だ。同社はAI利用量を基準とした社員評価指標を廃止し、成果重視の評価へと転換した。

9月3日、Digital Trendsが「Meta is changing how it judges employees after an unusual AI experiment」と題した記事を公開した。「Token Legend」の称号を競い合い、業務と無関係にAIトークンを消費しまくる——そんな珍事が実際に起きたのがMetaの社内だ。同社はAI利用量を基準とした社員評価指標を廃止し、成果重視の評価へと転換した。


「AIをたくさん使った社員が優秀」という評価軸の失敗

Metaはこれまで、社員の人事評価に「AI-driven impact(AIを活用したインパクト)」という指標を組み込んでいた。さらに、AIツールの活用度合いに応じて「AI Native」「AI First」「AI Enabled」といったラベルが社員に付与される仕組みも存在していた。

意図としては社内のAI活用を促進するためだったが、結果は予想外の方向に転んだ。

「Token Legend」という珍事

社員の一部は、評価を上げるためにAIツールをひたすら多用するようになった。焦点になったのがAIトークンの消費量だ。トークンとはAIモデルが処理する情報の単位で、プロンプトを大量に送れば消費量が増える。そこで一部の社員は、仕事上の必要性とは関係なく、トークン消費数を増やすこと自体を目的化し始めた。この現象は社内で「tokenmaxxing(トークンマキシング)」と呼ばれるようになった。

さらに、ある社員が同僚のAI利用量をランキング形式で表示する社内リーダーボードを作成し、上位者には「Token Legend」というタイトルが付与されるまでに至った。このリーダーボードは今年初めに社外に情報が漏れたことで削除されたが、AI導入推進施策が生んだ歪みの事例としてWIREDなどのメディアに広く報じられた

評価軸を「利用量」から「成果」へ

WIREDの報道によると、Metaは今週、エンジニアに対してAI採用ダッシュボードやトークン数は今後パフォーマンス評価には使用しないと通達した。改訂後の評価ガイダンスでは、社員のアウトカム(成果)は「AIによって支援されていてもいなくてもよい」と明記されており、AIの活用は依然として推奨されつつも、利用すること自体が目標ではないとされている。

Metaの広報担当者であるTracy Claytonは、WIREDに対して「当社は常に社員の貢献度に基づいて評価してきた」と述べ、「AI Native」などのラベルはパフォーマンス評価には用いられていなかったとしている。

Metaは依然AIに積極的

この方針転換をMetaがAI活用から後退したと解釈するのは早計だ。社員には現在、Hatchという実験的なAIエージェントが社用デバイスで試験提供されている。HatchはただのチャットボットではなくPCを操作し、Webを閲覧し、他のアプリケーションと連携できるエージェント型AIだ。すでに数週間にわたって社内利用されており、将来的には一般公開の可能性もある。エージェント型AIはLLMチャットとは一線を画す自律的な動作が特徴であり、Metaがその領域に本格投資していることが改めて示された格好だ。

今回の変更は、「AIを使うこと」を評価するのをやめ、「AIを使って何を達成したか」を評価する方向への転換と見ることができる。tokenmaxxingやToken Legendという珍事が示したのは、指標の設計が不適切であれば、社員は合理的にその指標だけを最適化するという普遍的な教訓でもある。


詳細はMeta is changing how it judges employees after an unusual AI experimentを参照していただきたい。