9月4日、CBS Newsが「AI interviews rolling out for some federal government hires, sources say」と題した記事を公開した。米連邦政府が一部の採用プロセスにAI面接を導入し始めたことを、複数の政府当局者への取材をもとに報じている。
連邦政府がAI面接を試験導入、対象は民間テック人材の採用枠
米連邦政府が、採用選考にAIを活用し始める。ただし全機関が一斉に導入するわけではなく、まず試験的な場として選ばれたのが「Tech Force」と呼ばれるイニシアティブだ。
Tech Forceは民間のテック専門家を2年間の政府ポストに招く官民交流プログラムである。この採用枠の応募者に対して、AIプラットフォーム「**CodeSignal**」を用いたAI面接が数日以内に実施される予定だと、米政府当局者が明らかにした。
CodeSignalは2014年創業のサンフランシスコ拠点の採用テックカンパニーで、コーディングテストや技術評価ツールの分野で民間企業への普及実績を持つ。近年はAIエージェントによるバーチャル面接機能を拡充しており、音声・テキストベースのインタビューによる採用選考の初期スクリーニングに対応している。面接はAIエージェントが標準化された質問で進行し、音声を録音・要約する。採用担当者は後から書き起こしと録音を確認して評価する仕組みだ。民間テック企業の技術選考でも広く利用されており、エンジニア採用の文脈では知名度の高いプラットフォームといえる。
約190万人を抱える政府機関が「民間より一歩遅れ」を認める
連邦政府は約190万人の職員を抱える巨大な雇用主だが、大量採用ポストの一次スクリーニングにAI面接ツールを活用する点では、民間企業より遅れていたと記事は指摘している。
政府の人事部門に相当する**人事管理局(OPM: Office of Personnel Management)は先週、採用プロセスへのAI活用を各機関に促すガイダンスを発行した。ただしガイダンスは、重要な人事判断においては人間による監督を維持すること**を求めている。OPMは今年初めにも、AIを活用して求人票を作成するツールを導入している。
OPMのディレクターであるScott Kupor氏は、しばしば低速とされる連邦政府の採用プロセスの迅速化を推進している。また、高齢化が進む政府職員の構成を是正するため、新規採用の少なくとも3分の1をキャリア初期の若手に充てるよう各機関に求めている。
DOGE主導の政府改革とOPM再編という文脈
今回の動きは、連邦政府の行政効率化を掲げるDOGE(Department of Government Efficiency)の影響下で加速している政府人事改革の一環として理解する必要がある。DOGEが主導した連邦職員の大規模削減・再編の波を受け、OPMは採用・人事評価プロセス全体のデジタル化・自動化を推し進める方向に舵を切った。AI面接の試験導入は、その流れの中における具体的な施策のひとつと位置づけられる。
Tech Forceが民間テック人材を政府ポストに誘致するプログラムである点も、この文脈と無関係ではない。削減後の人員を補う形で、即戦力となる民間エキスパートを短期的に取り込む狙いがあるとみられる。
OPM内部では主要AIツールに既にアクセス可能
OPMの管理スタッフは、政府支給のコンピューターからMicrosoft Copilot、Anthropic Claude、OpenAI ChatGPT、Google Geminiにアクセスできる状態にあり、AIは人事部門の業務でも活用が進んでいる。
AI面接の連邦政府全体への展開については、複数の当局者が「今後数年でより一般的になるだろう」と述べている。
AI面接導入が問いかける公平性と透明性の課題
AIが面接の進行を担う際に生じる公平性・説明責任の問題は、民間でも政府でも未解決のまま残る論点だ。OPMのガイダンスが「人間の監督」を明示的に求めている背景には、AI判断の不透明さや候補者への説明責任に関する懸念が反映されていると考えられる。
Tech Forceの文脈では、将来的に政府へのキャリア転向を検討するテック人材が最初に接するのが「AIエージェントとの面接」になりうる。採用の入口が自動化されることで応募・選考のスピードが上がる一方、候補者側からすれば評価根拠を問い合わせる相手が不明瞭になるリスクも存在する。この点においては、今後の制度設計が問われることになるだろう。
詳細はAI interviews rolling out for some federal government hires, sources sayを参照していただきたい。




