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経営者・CTO向けニュース

OpenAIはイーロン・マスクを避けるために年間10億ドル規模の顧客Cursorを切り捨てた

9月4日、Maxwell Zeffが「OpenAI Cut Off a Billion-Dollar Customer to Avoid Elon Musk」と題した記事を公開した。OpenAIがイーロン・マスクとの関係を理由に、年間10億ドル超の収益をもたらすCursorとのパートナーシップを打ち切った経緯を報じたものだ。

9月4日、Maxwell Zeffが「OpenAI Cut Off a Billion-Dollar Customer to Avoid Elon Musk」と題した記事を公開した。OpenAIがイーロン・マスクとの関係を理由に、年間10億ドル超の収益をもたらすCursorとのパートナーシップを打ち切った経緯を報じたものだ。


10億ドルを捨てた判断

OpenAIは先週金曜日の深夜、AIコーディングツール「Cursor」との提携を終了すると発表した。理由は明快だ。「SpaceXがOpenAIの利用規約を遵守するという確信が持てない」——つまり、マスクが信用できないということだ。

Cursorは、Anysphere社が開発・運営するAIコーディングエディタであり、開発者コミュニティで急速に支持を集めてきた存在だ。OpenAIのモデルをエンドユーザーに提供する代わりにOpenAIへ利用料を支払ってきた重要な顧客でもある。WIREDが関係者から得た情報によれば、2026年初頭時点でCursorはOpenAIの売上上位5社に入っており、2025年春の段階でOpenAIはCursorからの年間換算収益が10億ドルを超えると試算していた。

この数字は今回初めて報じられたものだという。


なぜ今なのか:SpaceXによるCursor買収

事の発端は、SpaceXが600億ドル規模の取引でCursorを買収したことにある。Cursor創業者でCEOのMichael TruellはSpaceXに移籍し、現在はSpaceX内でチームを率いる。

OpenAIはブログ投稿の中で、マスク傘下企業による過去の契約違反を根拠として提携終了を正当化した。さらに、マスクが今年初め、OpenAIに対する訴訟の証言の中で「xAI(現在はSpaceXの一部)がOpenAIのモデルを自社モデルの学習に使用した」と示唆するような発言をしたことも言及している。なお、マスクが起こしたこの訴訟——「Sam AltmanとGreg BrockmanがかつてともにつくったNPOを横取りした」という主張——は、連邦陪審によって今年すでに棄却されている。


「使用率5%」をめぐる応酬

TruellはOpenAIの発表から数時間後、X上に投稿し「OpenAIのモデルがCursorのユーザートラフィックに占める割合はわずか約5%」と述べた。OpenAIの影響は軽微だと示唆する意図が透けるが、これにOpenAIのコアプロダクト責任者Thibault Sottiaux がすぐさま反論。「トークン使用量は収益や創出価値の代理指標にはならない」とし、5%という数字の根拠を示すよう求めた。


OpenAIとCursorの複雑な関係史

両社の関係は入り組んでいる。OpenAIのスタートアップファンドは2023年のシードラウンドでCursorの初期投資家の一つだった。当時、若いスタートアップがMicrosoft傘下のGitHub Copilotに対抗できるとは夢物語とされていたが、Cursorはその後急速に開発者の支持を集めた。

WIREDの以前の報道によれば、OpenAIはある時点でCursorの買収を打診したこともあったが、交渉は本格化しなかった。2025年夏にはTruellがOpenAIのGPT-5ローンチのマーケティング素材に大きく登場しており、両社の関係は表向き良好だった。

それでも、OpenAI自身がCodexをAIコーディングビジネスとして本格展開するにつれ、Cursorとは「パートナーかつ競合」という微妙な関係が続いていた。マスクがCursorを掌握した今、その均衡は崩れた。


Anthropicはどう動くか

Cursorが完全にサードパーティモデルを切り捨てるわけではない。OpenAIの発表を受けて、AnthropicはCursorへのClaudeモデルの提供継続を表明した。

ただし、これが純粋な好意かどうかは疑わしい。元記事によれば、AnthropicとSpaceXはデータセンター容量をめぐる取引関係にあり、SpaceX(=Cursor)と波風を立てにくい立場にある。対照的に、昨年OpenAIによる買収が噂された際にはAIコーディングツール「Windsurf」へのClaudeアクセスをAnthropicは躊躇なく遮断している。当時Anthropic共同創業者のJared Kaplanは「OpenAIにClaudeを売るのは奇妙だろう」と語っていた。SpaceXへ売ることは構わないようだ、ということになる。


OpenAIは現在年換算収益400億ドル超を稼ぎ、来年のIPOに向けて投資家への信頼構築を急いでいる。その文脈で、マスクとの関係断絶というシグナルを意図的に送った可能性もある。Cursorとの決別は財務的なダメージを伴うが、マスクへの依存リスクと天秤にかけた結果だ。

詳細はOpenAI Cut Off a Billion-Dollar Customer to Avoid Elon Muskを参照していただきたい。